離婚後共同親権を導入した民法改正法の施行日は2026年4月1日と決定
婚姻中の父母に認められている「共同親権」を離婚後も可能とする民法改正法が成立したのは2024年5月17日でした。改正法の施行後は、離婚した父母の親権について「単独親権」に加えて「共同親権」の選択肢が認められることになりました(関連記事は≪コチラ≫です。)。その施行日について、政府は2025年10月31日の閣議で2026年4月1日とすることを決定しました。
その結果、2026年4月1日以降は、父母が離婚するときは協議して父または母の単独親権とするか、父母の共同親権とするかを決めなければなりません。もしも協議が折り合わないときは、家庭裁判所が子の利益の観点から親権者を判断します。
施行日より前に離婚した父母であっても、家裁に親権者の変更を申し立てることができます。2026年4月1日以降であれば、単独親権から共同親権への変更が可能となります(施行後、このタイプの申立てが増加する見込みです。)。
離婚後共同親権となった場合、子に関する決定は離婚した父母が共同して行うことになります。ただし、「一方が親権を行うことができないとき」、「子の利益のため急迫の事情があるとき」、「監護及び教育に関する日常の行為」は例外的に単独で親権を行使することができます。この点については、法務省の「Q&A形式の解説資料(民法編)」で以下のように説明されています(Q&Aは≪コチラ≫です。)。
【「子の利益のため急迫の事情があるとき」とはどのような場合か】父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては、適時に親権を行使することができず、その結果として、子の利益を害するおそれがあるような場合をいう。個別具体の状況によるが、例えば、○DVや虐待からの避難(子の転居などを含む)をする必要がある場合、○子に緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合、○入学試験の結果発表後に入学手続きの期限が迫っているような場合などである。
【学校教育に関してはどのようなものが「監護及び教育に関する日常の行為」に該当し、どのようなものが該当しないか】〔該当すると考えられるものの例〕○就学時の健康診断の受診○学校給食に係る手続(給食費の納付、アレルギーに係る連絡等)○出欠の連絡、個々の教育活動(宿泊活動、水泳授業、その他の学校行事等)への参加の同意の意思表示○学校が行う教育相談への対応(家庭訪問、三者面談への出席等)、子の学校生活に関する照会〔該当しないと考えられるものの例〕○入学、退学、転学、留学、休学等手続(願書の提出、初年度や毎年の授業料の納付、退学に関する申請等)○就学校変更の申立て、就学校に関する意見聴取への応答、区域外就学の手続○特別支援学校への就学に関する意見聴取への応答○就学義務の猶予・免除に関する申請○出席停止の命令に関する意見聴取への応答○長期間の交換留学制度、ホームステイ制度への参加
