OECDの国際調査:日本の教員の仕事時間は最長、教員の不足感は増加

OECD(経済協力開発機構)は、2025年10月7日、加盟国など55か国・地域が参加した2024年の「国際教員指導環境調査」(TALIS:Teaching and Learning International Survey)の結果を公表しました。これは、学校の学習環境と教員・校長の勤務環境に焦点を当てた国際調査です。調査は、第1回が2008年、第2回が2013年、第3回が2018年に行われ、今回は第4回に当たります。日本は、中学校は第2回調査、小学校は第3回調査から参加しています(報告のポイントは≪コチラ≫です。)。

【仕事時間は参加国中で最長】日本では2024年2~3月に、小中各200校ほどの校長・教員計7316人を対象に調査が行われました。教師の1週間あたりの仕事時間は、小学校で52.1時間(前回56.1時間)、中学校で55.1時間(前回59.1時間)、前回の調査に比べ4時間ほど短くなりました。しかしながら、前回に続き参加国の中で最長でした。また、授業時間は国際平均よりも短いのに、授業準備・書類作成などの事務業務・部活動などの課外活動が長いという特徴がありますが、いずれも前回に比べて縮減傾向です。

【教員の不足感が増加】校長への調査では、教員の不足を感じる割合が日本の小学校では40.7%で(参加国平均は28.7%)、前回から22ポイント増えました。また、中学校では35.6%で(参加国平均は23.1%)、前回から8ポイント増えました。わが国では、教員の不足感が増加しています。

【社会的評価を感じている教員が少ない】社会的評価を感じているかを教員に質問しました。「教員は児童生徒に高く評価されている」と回答したのは小学校で62.0%(参加国平均は79.6%)、中学校で54.2%(参加国平均は70.7%)でした。「教員は保護者に高く評価されている」と回答したのは小学校で49.8%(参加国平均は68.6%)、中学校で45.0%(参加国平均は65.4%)でした。「教員はメディアに高く評価されている」と回答したのは小学校で9.8%(参加国平均は27.7%)、中学校で9.2%(参加国平均は19.8%)でした。社会的評価を感じている教員が少ないのがわが国の特徴となっています。

【教員のストレス】前回の調査と比べて、多大な授業準備、多すぎる授業数や採点業務、事務的業務、保護者対応についての日本の教員のストレスは、小中学校ともに増加しました。また、日本の教員は、保護者対応、事務的業務、授業数についてのストレスや、多様性や公平性に関する問題や予期せぬ事態についてのストレスが国際平均より高いという結果でした。日本は、自治体・国の要求に対応することについてのストレスは、前回の調査と比べて増加し、国際平均より高い一方、カリキュラムの変化についてのストレスは、国際平均より低いという結果でした。