NPO法人調査:全国のこども食堂が初めて1万箇所を突破しました

NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」という名称の法人が東京都渋谷区にあります。2018年に設立され、2021年5月に認定NPO法人となりました。こども食堂の中間支援団体への支援や企業・団体との協働、調査研究を通じてこども食堂を強化支援し、誰も取り残さない共生社会の創造に寄与することなどを目的としています。むすびえは、2024年12月11日、「こども食堂全国箇所数調査」の調査結果を公表しました(概要版は≪コチラ≫、説明は≪コチラ≫、プレスリリースは≪コチラ≫です。)。

2021年ころから、東京・歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる路地裏などに多くの子どもや若者が集まり、犯罪や性被害、薬物事犯などが頻発する事案が社会問題化しました。この問題の背景には、子どもが安心・安全に過ごせる居場所がないことが横たわっていました。他方で、こども食堂は2012年ころ東京都大田区で誕生したといわれています。当初のころのこども食堂は、子どもの貧困対策の一手法として注目されました。しかし、その後、貧困状態の子どもに限らず、誰でも受け入れる住民交流・多世代交流の場として機能しているところが増えています。このようにこども食堂は新しいタイプの子どもの居場所として有効と捉えられ、こども家庭庁作成の「こども大綱」や「こどもの居場所づくりに関する指針」でも取り上げられています(関連記事は≪コチラ≫です。)。

この調査は、全国のこども食堂地域ネットワーク団体や都道府県、都道府県社会福祉協議会などのこども食堂の関係者から、2024年8~10月に確認して取りまとめました。時には、市町村や市町村社会福祉協議会などに電話をかけて聴きだして確認したそうです。こども食堂は自治体等への届け出を必要としない民間活動ですので、箇所数のすべてを網羅していない可能性があります。ですから、調査結果は「少なくともここまでは確認できた」という最低限の数字と考えてよいそうです。

こども食堂は前年より1734箇所増えて、2024年には全国で1万0866箇所に達しました。推計ですが、2024年1年間の延べ参加人数は1885万人、子どものみの年間延べ参加人数は1299万人となりました。なお、むすびえは、全国の小学校区1万8740校(文科省「令和6年度学校基本調査(速報値)」)につき1つ以上のこども食堂がある状態になることを目指しているそうです。長野県内には、2024年現在214箇所のこども食堂があり、2023年に比べて36箇所・20.22%増加しました。

(出典 NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ「こども食堂全国箇所数調査」から)