NPO法人はLGBTQの子どもを調査。過去1年に、中高生の89.5%が学校で困難やハラスメントを経験していました

認定NPO法人ReBitという団体が東京都渋谷区にあります。公開された定款によると、LGBTについて互いの違いを受け入れあえる個人を養成することなどを目的として人権擁護活動等を行っています。同法人は、2025年6月2日、「LGBTQ 子ども・若者調査2025」の調査結果を公表しました。2022年に続く2回目となる今回の調査は、2025年2月10日~3月31日、12~34歳のLGBTQ当事者4925人を対象としてインターネットで実施し、うち4755人の回答を分析対象としました。回答者の37.8%は10歳代でした。また、中学生は8.1%、高校・高専生は17.3%でした(報告書は≪コチラ≫です。)。

10代LGBTQのうち、過去1年で53.9%が自殺念慮、19.6%が自殺未遂、42.2%が自傷行為を経験したと回答しました。日本財団の「日本財団第 4 回自殺意識調査(2021)」と比較すると、10代LGBTQの自殺念慮は3.3倍、自殺未遂経験は3.6倍、自傷は3.7倍といずれも高い結果となりました。「普段からセクシュアリティについて安心して話せる相手や場所がない」と回答した10代は40.8%にのぼります。安心できる相談先の有無で比較すると、「ある」群の方が、自殺念慮は12.1ポイント、自殺未遂は5.1ポイント、自傷行為は9.8ポイント低い結果となりました。セクシュアリティについて安心して相談できる人や場所の存在が、10代LGBTQの自殺予防に重要な役割を果たしていることが示されているとします。

LGBTQの中高生の89.5%が、過去1年に学校で困難やハラスメントを経験していました。そのうち、63.8%は教職員に由来するものでした。具体的な困難の上位には、「生徒からLGBTQでないと決めつける言動」(63.7%)、「先生からの不要な男女わけ」(46.2%)、「生徒からLGBTQをネタ・笑いものにされた」(43.9%)が挙がっています。「学校で困難やハラスメントを経験した」群は、「ない」群と比較し、過去1年での自殺未遂経験が2.1倍高く、学校での経験が深刻な影響を及ぼしていました。

中学生の40.1%、高校生の24.0%が、過去1年にいじめや暴力を経験していました。不登校についても、LGBTQの中高生はハイリスクにあり、過去1年で58.2%が「学校に行きたくない」と感じたと回答しました。過去1年での不登校経験者は中学生で23.6%、高校生で10.2%にのぼります。文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等調査(2023年)』と比較すると、LGBTQ中学生は3.5倍、高校生は4.3倍高い不登校率です。LGBTQも安心して学べる学校環境と支援体制の整備が求められるとしています。