日本将棋連盟:福間香奈さんの見直し要望受け、問題の規定の削除を明示

日本将棋連盟(清水市代会長)に所属する福間香奈さん(旧姓里見香奈さん)は、8つある女流棋戦のタイトルのうち6つを保持し、通算タイトル獲得67を数える現役トップの女流棋士です。福間さんの妊娠が2024年4月に判明し、女流棋士の妊娠・出産とタイトル戦をどう調整するかが検討されました。その結果、将棋連盟は2025年4月、女流棋士のタイトル戦出場に関して「妊娠している場合は、出産予定日を基準とした産前6週間から産後8週間までの期間と、番勝負の日程が一部でも重複する場合、対局者の変更を行う。」との規定を設けました。この規定によれば、タイトル戦の日程と産前産後の14週間とが1日でも重なると、タイトル保持者はタイトルを当然に失い、挑戦者はタイトル戦に出場することができなくなります。福間さんは、出産を控えた女流棋士がタイトル戦に出場することが難しい将棋連盟の規定は人権上重大な問題を含んでいるとして将棋連盟に見直しを要望しました。

将棋連盟は緊急常務会を開いた上、2025年12月16日、女流タイトル戦の対局日程が産前産後の14週間と一部でも重なった場合はタイトル保持者であっても別の女流棋士に交代させるとした規定を削除すると発表しました。さらに、妊娠・出産が対局日の変更事由に該当することを規定上明示した上で、可能な限り調整を行うことも明らかにしました(将棋連盟の発表は≪コチラ≫です。)。

声明は、弁護士から、女性の妊娠・出産を自己決定する権利の観点から対局日の調整は可能と解釈することが相当、一切の日程調整をしない運用は女性の妊娠・出産の自己決定権を著しく害する、との指摘を受けたことを明らかにしています。その上で、2026年1月までに「公式戦番勝負対局規定検討委員会(仮称)」を設け、対局日程の調整がどうしても困難な場合は対局者を変更し、出場できない対局者への代替措置などを検討し、3月ごろ中間結果を、4月末には最終的な答申案を求めることにしました。

清水市代会長は「妊娠・出産を含む人生のさまざまな局面において、棋士・女流棋士が安心して対局に臨むことができる環境を整えることは、将棋連盟の責務であると強く認識しております。今回の見直しを一つの出発点とし、検討委員会での議論や女流棋士、主催者、ファンの皆様のお声を真摯に受け止めながら、より良い制度と運営体制の構築に全力で取り組んでまいります」とコメントしました。

将棋連盟の発表を受け、福間さんは「日本将棋連盟が問題規定を削除し、検討委員会を立ち上げることについて、前向きに、ありがたく捉えています。今後、具体的にどのような対応がなされるのかについては引き続き注視して参りたい。」とのコメントを出しました。