民間調査:分納・延納が可能な大学は約3%、入学しない受験生からの入学金収入は約355億円

日本の大学受験では、第一志望の合否が出る前に「進学するか未定の大学」に入学金を納付し、入学を後日辞退しても返還されないケースが一般的です。その結果、同時期に複数校の合格が出た場合に入学金の二重払いが発生します。こうした二重払いは、家計に大きな負担を与えるだけでなく、受験自体を回避・縮小させる原因になり得ます。学びの機会を平等に保障する観点からも、合否確定後の納付制度や返還制度などの整備は重要の課題です。大学の「入学金二重払い」の問題に取り組んでいる『入学金調査プロジェクト』は調査を実施し、2025年11月18日、その結果を公表しました(プレスリリースは≪コチラ≫です。)。

【学生に配慮した大学は、都内私立大学120校中わずか4校】文科省は、2025年6月26日、全国の私立大学宛に、「私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について」を通知しました。この通知では、入学しない大学に納付する入学料について、学生の経済負担軽減等に努めるよう求めています(関連記事は≪コチラ≫です。)。そこで、『入学金調査プロジェクト』は、入学金の負担軽減制度(返還・猶予・分割等)を募集要項に明記した大学の数を調べました。その結果、都内の私立大学120校のうち、入学金の負担軽減制度(返還・猶予・分割等)を募集要項に明記している大学はわずか4校(約3%)にとどまることが判明しました。その大学は、産業能率大学・大東文化大学・嘉悦大学・文化学園大学の4校でした。

【入学しない受験生からの入学金収入は総計355億円】2024年の大学進学者数は、62万8766人でした(出典:文部科学省「令和6年度学校基本調査(確定値)」)。私立大学の入学金は、平均24万0806円でした(出典:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」)。2024年に入学金の二重払いを経験した受験生は23.5%とされています(出典:教育新聞 2025/06/26「入学金の二重払いで改善検討を 私立大学に文科省が通知」)。これらの数値より、私立大学が「入学しなかった受験生」から得ている入学金収入は総計355億8149万6968円(約355億円)と推計されます。