公益財団法人:日本の子どもたちは、計算力は高いのに、自信がない
公益財団法人スプリックス教育財団(本部東京都渋谷区)は、基礎学力に対する意識の現状を把握することを目的に、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」を実施し、2025年12月4日、結果を公表しました。子どもの「計算への自信」および「計算が好きか」の国際比較に焦点を当てました。調査は、2025年4月~7月、世界6か国(日本のほか、アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)の小学4年生および中学2年生相当の子ども各学年150人(日本だけは小4が300人程度、中2が100人程度)を対象にしてインターネット(日本だけは教室で)で実施しました(結果は≪コチラ≫です。)。
日本国内の傾向を見ると、小4では「計算が好き」で「自信がある」という肯定的な回答が大多数を占めました。しかし、中2になると、「計算が好き」「自信がある」という肯定的な回答は激減しました。
アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国と比較すると、日本の小4は「好き・自信」の肯定的な回答の平均値が低い結果でした。中2になるとその意識はさらに急落し、6カ国の中で唯一否定的な領域にまで低下しました。
計算テストの結果を見ると、日本の小4は、他国と同等に高い正答率を示しました。さらに中2では、他国と比較しても高い水準の正答率となりました。これは、計算に対する否定的な意識とは対照的に、日本には基礎学力が着実に定着する土壌があることを示唆しています。
このような「能力は高いが、自信は低い」という傾向は、PISAやTIMSSなど他の国際調査で指摘されてきた、日本の算数・数学全般に共通する特徴とよく似ているといいます。
以上の結果から、日本の子どもたちの計算に関して、2つの点が示唆されます。第一に、小学校から中学校にかけて、日本の学校教育が十分に機能し、高い計算力が着実に定着しているという肯定的な側面です。第二に、その高い能力とは対照的に、「好き」「自信」といった肯定的な意識は国際的に見ても極めて低く、改善すべき課題であるという点です。計算に対する自信の欠如は、将来的に学習意欲や進路選択の幅を狭めてしまうおそれがあります。
このような結果は、計算力を確実に身につけさせると同時に、その能力に見合った「自信」や「学ぶ意欲」といった肯定的な意識をいかに育むかが、今後の日本の教育における重要な課題であることを示している、としています。
