厚労省の調査会:「指定濫用防止医薬品」に8成分を指定へ。若者や子どものオーバードーズ対策で
決められた量を超えて医薬品をたくさん飲んでしまう過剰摂取のことを「オーバードーズ」「OD」といいます。特に最近、かぜ薬や咳止め薬などを、かぜや咳の症状を抑えるためではなく、感覚や気持ちに変化を起こすために大量に服用することを指して、「オーバードーズする」「ODする」などと言っています。現在、若者や子どもを中心にして市販薬のオーバードーズが社会問題となっています。「ODをしたら楽しくなった」「つらい気持ちがODで和らいだ」「ふわふわ気持ちよくなって、嫌なことが忘れられる」といったSNSの投稿の拡散によって若者や子どもの間に広がりをみせています。しかし、オーバードーズは、心と体を傷つける危険な行為です(厚労省のHPは≪コチラ≫です。)。これまでも「濫用等のおそれのある医薬品」として一定の販売規制がありましたが十分ではありませんでした。
「医薬品医療機器法」という法律があります(正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)。医薬品の品質や安全性などを定めた法律です。その法律が本年7月に改正され、2026年5月1日に施行されることが決まっています。改正部分は多岐にわたりますが、オーバードーズにとって重要なのは、36条の11の新設によって「指定濫用防止医薬品」を法律上に位置づけ、規制を強化したことです。
18歳未満が「指定濫用防止医薬品」に指定された成分を含む市販薬を薬局から購入する際は、小容量製品(5日分。かぜ薬・解熱鎮痛薬・鼻炎内服薬は7日分。)1個に限定します。薬局は販売にあたり、購入者の氏名・年齢を確認するほか、購入者の症状の確認、薬物濫用に関する情報の提供、他店での購入状況の確認、複数購入の場合はその理由の確認をしなければなりません。薬品の陳列場所は、購入者の手の届かない場所か、継続的に配置された専門家から目の届く範囲内(情報提供場所から7m以内)とします(厚労省の資料は≪コチラ≫です。)。
「指定濫用防止医薬品」の指定は、厚労省の薬事審議会・医薬品等安全対策部会・安全対策調査会が検討することになっています。その調査会の会議が2025年11月11日に開催され、「指定濫用防止医薬品」に8成分を指定すべきとする意見がまとまりました。指定の対象に挙げられたのは、かぜ薬、鎮咳去痰薬、鼻炎内服薬、解熱鎮痛薬、鎮うん薬、催眠鎮静薬、外用痔疾患用薬、みずむし・たむし用薬などの成分(コデイン、エフェドリンなど8つ)です(詳しくは≪コチラ≫です。)。今後は、パブリックコメントを経て、医薬品等安全対策部会で決定し、2026年2月の告示を見込みます。
