こども家庭庁の検討会:日本版DBSを柱とする「こども性暴力防止法」のガイドラインの「中間とりまとめ」を公表

教員や保育士らの一部によるとはいえ、学校での盗撮や子どもへの性暴力が相次いで発生しています。こうした子どもへの性暴力を防止するために、「こども性暴力防止法」が2024年6月19日に成立しました。この法律では、子どもに接する仕事に従事する人の性犯罪歴を学校や民間の教育保育事業者らが国に照会する制度を新設しました(日本版DBS)。さらに、日ごろから性暴力を未然に防ぐための対策をとるよう求めています。この法律が2026年12月25日に施行されるのを前にして、こども家庭庁の有識者検討会は、2025年9月29日、ガイドラインの策定に向けた「中間とりまとめ」を公表しました。こども家庭庁は、年内にガイドラインを公表する予定です(中間とりまとめは≪コチラ≫、関連記事は≪コチラ≫です。)。

日本版DBSは、学校や保育所など子どもと接する事業者が、現に働いている従業員やこれから新たに採用しようとする者の性犯罪の前科の有無を、こども家庭庁を通じて法務省に照会して確認する制度です。照会の結果、前科のあることが確認されたときは、従業員に対しては子どもと接する職場からの配置転換などを、新規採用予定者に対しては内定の取消などの対応を講じなければなりません。制度の対象となる事業者は、学校・認可保育所・児童養護施設などの公的施設の外に、民間の教育保育事業者を含めます。民間の範囲をどこまでとするか検討され、学習塾や放課後児童クラブ、芸能事務所、子ども食堂など、子どもが関わる分野で幅広く対応を求めることにしました。また、前科の元となる法令の範囲については、刑法(わいせつ罪など)や児童福祉法(淫行させる罪)などの法律の外に、都道府県の条例をどこまで含めるかが問われ、迷惑防止条例(痴漢や盗撮など)と青少年健全育成条例(淫行行為など)を対象とすることにしました。

子どもへの性暴力の未然防止にむけて、密室状態の回避(死角を把握して可能な限りなくす、監視システム等を活用する)が重要であるとしています。そのために、防犯カメラが有用であるという見解を示しました。防犯カメラの有用性は、性暴力の抑止につながること、性暴力の疑いが生じた場合に事実確認が適切に行われること、従事者が無用なトラブルから守られること、と説明されています。その一方で、子どものプライバシー、教育現場の萎縮、録画映像の目的外利用の防止といった観点にも配慮しながら、関係者間で運用ルールを協議して定めることが重要であるとしています。