こども家庭庁:心中以外の虐待死の子ども2023年度は48人。うち日齢0日児は16人

こども家庭庁は、2025年9月11日、2023年度における児童虐待による死亡事例56件・65人の検証結果を公表しました。内訳は、心中による虐待死事例が12件・17人、心中以外の虐待死事例が44件・48人でした。虐待死事例の検証は2005年から毎年行われ、今回は21回目の報告となります。検証の担当は「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」です(概要版は≪コチラ≫、前年の記事は≪コチラ≫です。)。以下では、心中以外の虐待死44件・48人を記します。

【心中以外の虐待死の子どもの年齢】0歳児が33人で68.8%を占めました。その中でも、出産直後に遺棄され生後24時間に満たないで死亡した日齢0日児は16人でした。日齢1日~月齢1か月未満の死亡は2人でした。なお、日齢0日児の死亡16人のうち、関係機関が関与していたのは僅か1人にすぎませんでした。予期しない妊娠をした人を行政や支援機関にどうつなげるかが課題です。

【虐待死の傾向】心中以外の虐待死48人の死因となった虐待の類型は、ネグレクト25人、身体的虐待21人でした。主たる加害者は実母19人、実母と実父7人、実母と実母の交際相手2人でした。養育者の心理的・精神的問題(複数回答あり)としては「養育能力の低さ」10人、「育児不安」8人、「精神障害」「衝動性」「攻撃性」「怒りのコントロール不全」「DVを受けている」が各6人でした。

【虐待通告の有無】死亡前の虐待通告の有無は、通告なしが26人、通告ありが13人でした。通告先は、児童相談所が10人、市区町村の虐待対応担当部署が2人でした。通告のないケースが多くなっています。

【児童相談所の関与】児相の関与の有無は、関与なしが25人、関与ありが15人でした。児相が関与した15事例での児相の認識は「虐待の認識があり、対応していた」が10人、「虐待の可能性は認識していたが、確定していなかった」が3人でした。児相が関与した事例におけるリスク判定の見直し状況は、定期的な見直しを行ったが4人、行わなかったが11人でした。児相が関与した事例において児相による最終安全確認を行った時期は、「死亡前の1週間~1か月未満」が5人、「死亡前の1か月~3か月未満」「死亡前の半年以上」がいずれも4人でした。児相が関与しないケースが多く、関与していたとしても死亡の前の関与は濃厚とはいえません。

【要保護児童対策地域協議会の検討状況】要保護児童対策地域協議会における検討状況は、検討ありが10人、検討なしが31人で、7割以上の事例で検討していませんでした。検討ありの事例のうち、実務者会議で検討されていた事例は8人、個別ケース検討会議で検討されていた事例は6人でした。要保護児童として扱われていた事例は7人でした。