こども家庭庁:一時保護中の子どもと保護者との面会・通信の制限についての通知を発しました

児童虐待防止法と児童福祉法の2025年改正により、一時保護中の子どもと保護者との面会・通信の制度に変更が加えられました。それまでは、児童虐待を行った保護者についてのみ、子どもとの面会・通信を制限できるという制度でした。ですから、児童虐待を行った疑いがあるという段階では、子どもとの面会・通信を制限することができませんでした。この度の法改正によって、保護者が児童虐待を行った疑いがあるという段階であっても、一定の要件のあるケースでは、児童相談所長は面会・通信を制限することができるとする制度が新設されました(関連記事は≪コチラ≫です。)。

この改正法は、2025年10月20日から施行されます。その施行を前にして、こども家庭庁は、2025年8月29日、関係自治体に向けて、「児童福祉法等の一部を改正する法律の一部の施行について(児童虐待の防止等に関する法律等関係)」を通知しました。新しい制度の要点や注意点が記されています(通知は≪コチラ≫です。)。ポイントを見てみましょう。

【面会・通信の制限】一時保護中の子どもに対して、保護者が児童虐待を行った疑いがあると認められる段階であっても、子どもと保護者との面会・通信を認めたとすれば子どもの心身に有害な影響を及ぼすおそれが大きいと認められるときは、児童相談所長は、保護者の同意を得られない場合でも、行政処分として面会・通信の全部又は一部を制限できることにしました。ただし、子どもと保護者が交流することは、その先の親子関係の修復・再構築に大きな影響を及ぼします。そのため、保護者の意見を聴き、丁寧に説明をし、可能な限り理解を得た上で面会・通信の制限を行うことが重要です。このため、制限が必要な場合であっても、まずは保護者の任意の協力に基づく行政指導として行うよう求めています。

【子どもからの意見の聴き取り】保護者との面会・通信を制限する場合や制限を解除する場合、子どもの安全・安心と最善の利益の観点から、子どもの意見を尊重した上で適切に判断されるよう、子どもに対する意見聴取を行わなければならないことにしました。その際には、子どもアドボケイトの積極的な活用も重要としています(子どもアドボケイトは≪コチラ≫です。)。

【子どもの住所や所在を明らかにしない措置】児童虐待が行われた疑いがあるという段階であっても、例えば、子どもの連れ去りを示唆しているなど、子どもの住所を明らかにしたとすれば子どもの保護に著しい支障をきたす場合が想定されます。そこで、子どもの保護者に対し、子どもの住所や所在を明らかにしたとすれば子どもの保護に著しい支障をきたすと認められるときは、子どもの住所等を明らかにしないという制度を新設しました。