インターネットによる多様なリスクから子どもを守るためには。こども家庭庁のWGが方向性をとりまとめ
インターネットは、いまや生活に不可欠なツールとなっています。しかし、その反面、「青少年有害情報」として以前から法律で例示された犯罪や自殺を誘引する情報・わいせつ情報・残虐情報が氾濫するだけにとどまりません。多種多様なリスクが新たに発生しています。〇SNSに起因して子どもが児童買春・児童ポルノその他の被害にあう。〇闇バイト情報で子どもが重大犯罪に加担する。〇子どもが誹謗中傷の加害行為を行う。〇青少年有害情報に当たる広告が学習で用いるタブレット端末に表示されてしまう。〇生成AI技術の普及により、実在の子どもを基礎として性的ディープフェイク画像が生成されてしまう。これらのリスクに、政府やこども家庭庁はどのように対処しようとしているのでしょうか。
政府は、2025年8月8日、「インターネットの利用を巡る青少年の保護の在り方に関する関係府省庁連絡会議」を開催しました。その会議に向け、こども家庭庁のワーキンググループは、同年8月7日、「課題と論点の整理」をとりまとめました。取りあげられた課題は多岐にわたり、これに対する方向性を示しました(文書は≪コチラ≫です。)。
【法律による一律規制】2024年11月オーストラリアで16歳未満の子どものSNS利用を禁止する法律が成立したように、諸外国では法律等により一律に子どもの使用を規制する動きもあるが、実効性やインターネット活用の意義を踏まえると、こうした手段を用いることには慎重であるべき。むしろ保護者が子どもを守るための技術的手段を確保することや、業者を含む幅広いステークホルダー(利害関係者)の参画を求めること、技術革新の推進に向けた業者の新規参入を促すことが方策として望ましいのではないか。子どものリテラシーを向上させることが長期的には重要ではないか。
【青少年インターネット環境整備法が時代にあわなくなっている】多様化するリスクに対し、法律が定める①教育・啓発活動の推進、②フィルタリングの推進の二軸による対応で十分か。上記した「青少年有害情報」は今のままの例示で良いか。
【性的広告】性的広告が容易に子どもの目に触れてしまう実態があると指摘した上で、一部の業界で始まった自主規制の取組を後押しするため、例えば、主要な広告主であるゲーム業界等の主要企業に自主規制を要請するのはどうか。
【闇バイト、いじめ、セクスティング(性的なメッセージや写真を送る行為)】現行の青少年インターネット環境整備法で定めたフィルタリングでは十分に対応できない。ペアレンタルコントロール機能の実装に向けた措置等の取組を業者に促すのはどうか。1対1の通信を発信者情報の開示の対象とすることの是非を含めて検討する。
【生成AIを悪用したディープフェイク】各種法令の適用による厳正な取締り及び被害者の保護を行うとともに、サイト管理者等への違法な情報の削除依頼を強化する。