2003~2024年、水難事故による中学生以下の子どもの死者・行方不明者は1132人。河川財団の調査から
今年の夏は猛暑のせいでしょうか、河川や海での水難事故のニュースが多いように思われます。公益財団法人河川財団(本部は東京都中央区)は、全国の河川での水難事故のデータを収集し、水難事故の発生原因や対策を分析しています。河川財団は、2025年7月、河川の安全利用に向けて「水難事故2025」を公表しました(公表文書は≪コチラ≫です。)。
水難事故には、海・川・湖沼池・用水路・プールなどでの水の事故が含まれます。警察庁のデータでは、2024年の水難事故全部の発生件数は1535件、水難者は1753人に達しました。年間の死者・行方不明者は816人、そのうち子どもは28人でした。河川・湖沼池に限ると死者・行方不明者は327人、そのうち子どもは18人でした。2003~2024年の22年間における警察庁のデータでは、水難事故による中学生以下の子どもの死者・行方不明者は1132人でした。その48.9%は河川で発生しました。海で発生した22.5%の2倍以上となりました。河川は、子どもにとって身近であり、不慮の事故に遭いやすい場所といえます。
河川財団は、2003~2024年に新聞やテレビで報道された河川・ダム湖・湖沼・ため池・用水路・運河で発生した水難事故3920件の事例を収集して分析しました。発生事例を月別に見ると、事故は7~8月の限られた期間に、年間事故の約50%が発生しています。夏に多発するのは、暑さとともに夏休みやレジャーで河川利用の機会が増えるからです。夏の事故には、出水時の河川利用、流れの速い場所や滝つぼなど危険箇所での遊泳、橋や岩場などの高所からの飛び込み遊び、酒気を帯びた状態での河川利用といった行為に起因する事故が多く見られます。また、5月はGWでカヌーの川下りの事故、6月と9月はアユ釣りや悪天候による増水の事故が見られます。
水難事故の発生時間帯を見ると、過半数は午後に発生しており、なかでも14~15時をピークとして13~17時までの4時間に集中しています。原因を次のように考察しています。昼食後で気がゆるみやすいことに加え、暑さや疲労などで注意力が散漫になりがちです。親子連れの場合は、保護者が午後になると日射しを避けて水際から離れた日陰に入ることが多く、その結果、子どもへの監視の目が行き届きにくくなるケースがあります。大人のグループの場合はバーベキューなどで飲酒し、酒気帯びの状態で川に入りおぼれる事故があります。
河川水難事故の発生上位は、琵琶湖(147件)、長良川(120件)、多摩川(68件)、相模川(56件)、木曽川(48件)、荒川(43件)でした。大都市圏あるいは地方の中核都市からのアクセスが良く、川遊びや釣りなどのレクリエーションやレジャーの場としてよく利用されている河川で多発する傾向があります。