こども家庭庁公表:保育施設の80.3%が保育士不足を感じると答えました
こども家庭庁は、2025年8月13日、「保育人材確保にむけた効果的な取組手法等に関する調査研究報告書」を公表しました。その報告書によると、保育所などの施設の80.3%が保育士の人材不足を感じていることが明らかになりました。調査を行ったのは、こども家庭庁から委託を受けた三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社です。調査は、2024年10月~12月、保育施設と自治体を対象に調査し、認可保育所や認定こども園など9373施設と41都道府県、1096市区町村から回答がありました。保育士の人材確保の実情を把握する目的で、政府がこうした全国調査を行うのは初めてです(報告書は≪コチラ≫です。)。
都道府県に対し、過去3年間における保育士の過不足の傾向を質問しました。5割の都道府県では、常勤職員・非常勤職員いずれも「全て・ほとんどの地域で不足傾向にある」と答えました。不足の要因として、約7割の都道府県が「業務負担が重く、働き方が厳しい」と答えました。また、全ての都道府県で、指定保育士養成施設(保育士の資格を取得するための大学、短大、専門学校などで都道府県知事が指定する。)への入学者数が減少していました。
保育所などの施設に対し、過去3年程度における保育士の不足感を質問しました。「とても感じている」が42.7%、「まあ感じている」が37.6%で、合計すると80.3%の保育所などが保育士の不足を感じていました。特に「公営」「社会福祉法人」「学校法人」の保育所などで「とても感じている」の割合が高い一方、「地域型保育事業」では「あまり感じていない」の割合がやや高い結果となりました。全体のうち25.3%は、過去3年程度の間に、保育士の不足によって子どもを定員まで受け入れられなかった経験があると答えました。また、保育士の不足を感じる場面を質問しました。「職員の休暇取得の調整」(66.6%)、「延長保育の時間帯」(59.1%)、「代替職員の確保」(54.6%)が高い割合となっていました。
各自治体は、保育士の確保のためにさまざまな施策を展開しています。こども家庭庁は、保育士の人材不足を解消しようと努めていますが、保育士の確保は重要な課題であり続けています。業務負担が重く働き方が厳しいという負担感に対応した賃金の保障や労働条件の改善が不可欠です。