データベースによる教員の性暴力歴の確認の調査を全学校対象に実施。盗撮事件を受けて文科大臣が明らかに

教員が児童生徒を守り育てる立場にあることは、今さらいうまでもなく、当たり前の常識です。それにもかかわらず、教員が児童生徒にわいせつ行為や盗撮などの性暴力をはたらく事例が頻発しています。国民からみても目を覆いたくなるほどの惨状です。児童生徒に対する教員による性暴力など、断じてあってはならないことです。

性暴力の未然防止のために、教員性暴力等防止法に基づくデータベース(DB)が2023年4月から運用されています(関連記事は≪コチラ≫です。)。これは、過去に児童生徒に性暴力をはたらいて処分された者が再び教壇に立つことを防ぐための仕組みです。「特定免許状失効者等」(児童生徒に性暴力を行ったことにより教員免許状が失効した者)の情報を国が管理するDBに登録しておき、教員を採用する際には、国公私立の別や、常勤・非常勤等の採用形態を問わず、必ずDBを活用して、性暴力の処分歴がないか確認しなければならないというものです。もしも採用希望者が「特定免許状執行者等」に当たることが判明したときは、当該希望者の採否を判断するにあたり、十分に考慮しなければならないことにしています。こうしたDBによる処分歴の有無の確認は法律上の義務とされています。しかしながら、これまでの調べでは、一部の教育委員会などではDBへのユーザー登録も、またDBの活用も十分になされていないことが判明していました。

阿部俊子文部科学大臣は、2025年8月8日の閣議後の記者会見において、国公私立の全学校を対象にして、DBへのユーザー登録の手続の周知をはかるとともに、教員の採用時に過去の性暴力による処分歴をDBを使って確認しているかどうか調査すると発表しました。阿部大臣は、DBの活用の徹底を促す考えを強調しました。調査結果は、2025年度内に公表する予定としています。

名古屋市立小の教員らが女子児童の下着を盗撮しSNSのグループチャットで共有していた事件では、同市教委はDBによる確認をせずに採用したことが発覚していました。もっとも、DBの活用による防止は、いわゆる初犯の性暴力には効果が伴いませんので、さらに広範な対策が必要です。