交通安全白書:歩行中の小学生の事故は3割が飛び出しによるものでした
政府は、2025年6月10日、2025年版の交通安全白書を閣議決定しました。交通安全白書は、交通安全対策基本法13条に基づき、国会に提出する年次報告書です。1971年から毎年報告されており、今回は55回目です。本文中には、陸上交通(道路交通と鉄道交通)、海上交通、航空交通の項目があり、それらの前編に「特集 通学路における交通安全の確保について」の項目が置かれ、小学生の交通事故の特集がまとめられています(概要版は≪コチラ≫、特集は≪コチラ≫です。)。
2024年中の道路交通における交通事故死者数は2663人で、5年連続で3000人を下回り、前年の交通事故死者数と比較して15人減少しました。しかし、今なお多くの尊い命が交通事故で失われていることに変わりはなく、痛ましい交通事故が後を絶ちません。これらの交通事故には、子どもが犠牲となっているものも含まれており、次世代を担う子どものかけがえのない命を交通事故から守ることは重要です。
2020年~2024年の5年間に交通事故で死亡するか重傷を負った小学生は全国で3370人でした。どのような形態で被害にあったかの状態別の内訳は、歩行中が1875人(55.6%)、自転車乗車中が1205人(35.8%)、自動車乗車中が278人(8.2%)でした。学齢別にみると、歩行中は小1の446人と小2の453人が特に多く、小3以降は学齢が上がるとともに減少しています。一方で、自転車乗用中は小1から学齢が上がるとともに増加し、小6が282人で最多でした。
歩行中に事故にあった小学生1875人を通行目的別に分けると、登校中が232人(12.4%)、下校中が484人(25.8%)となっており、これらを合わせると716人で38.2%を占めています。また、遊戯をしていて事故にあった小学生は332人で17.7%でした。発生時間帯別にみた場合、14時~15時台が639人で最も多く、次いで16時~17時台が617人でした。その4時間が圧倒的に突出しています。
歩行中の小学生に法令違反があったかどうかの法令違反別にみると、違反のない小学生が749人で40.9%と最も大きな割合を占めています。小学生の約6割に法令違反等があり、その内訳をみると、飛出しが613人(33.5%)で最も多く、次いで横断違反が309人(16.9%)、信号無視が59人(3.2%)、路上遊戯が57人(3.1%)の順となっています。
小学生を交通事故から守るには、小学生に対し、正しい横断方法を始めとした交 通ルールやマナーの遵守、登下校中に注意すべき点等を踏まえた行動、反射材用品等の着用等が行われるよう、効果的な交通安全教育の実施が重要であるとしています。