警察庁公表:20歳未満の行方不明者の原因・動機の最多は家庭関係の3割強
国家公安委員会は、2009年に「行方不明者発見活動に関する規則」を整備しました。これは行方がわからなくなっている人物を捜索して欲しいなどとして行方不明者の情報を警察に届け出る手続を定めたものです。以前は「家出人捜索願い」と呼ばれていましたが、行方不明者の届け出の手続を「行方不明者届(ゆくえふめいしゃとどけ)」と改め、規則を整備しました。行方不明者とは生活の本拠を離れ行方が明らかでない者をいい、家出・失踪のほかに事件・事故に巻き込まれた場合なども含まれます。
警察庁は、2025年6月5日、「令和6年における行方不明者届受理等の状況」の統計を公表しました。2024年の一年間の行方不明者の総数は8万2563人で、前年より7581人減少したものの、依然として高い水準で推移しているといいます(統計は≪コチラ≫です。)。
行方不明者を年齢層別にみました。9歳以下の行方不明者は1035人、10歳代は1万6645人、20歳代は1万5053人で、これらを合計すると行方不明者全体のおよそ4割を占めます。80歳以上は1万4490人、70歳代は9790人です。
さて、行方不明の原因・動機はどのようになっているでしょうか。親族が提出する行方不明者届には、親族として思い当たる行方不明の原因・動機を記載する欄があります。そこに記載された原因・動機を元にして、各年齢層の行方不明者を分けてみました。9歳以下の行方不明の原因・動機で最多は、家庭関係の370人(35.7%)でした。これに対し、学業関係は37人(3.6%)でした。10歳代で最多は、家庭関係の5580人(33.5%)でした。これに対し、学業関係は1520人(9.1%)でした。20歳代で最多は、事業・職業関係の3099人(20.6%)でした。このようなことから、警察庁は「原因・動機の年齢層別割合では、10歳代以下が家庭関係、20歳代から30歳代までが事業・職業関係、60歳代以上は認知症が高い割合を占める(その他、不詳を除く。)。」とのコメントをまとめています。こうした統計からは、9歳以下及び10歳代の行方不明の原因・動機には家庭関係が大きな影響を与えていることが認められます。