若い世代の描くライフデザインや出会いを考える。こども家庭庁の議論のまとめから
こども家庭庁は、2025年5月、「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ 議論のまとめ」を公表しました(報告書は≪コチラ≫です。)。
【問題の背景】結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであり、多様な価値観を尊重することが前提です。ところで、わが国では婚姻件数が減少し未婚割合が上昇しており、こうした未婚化の進行が少子化の要因となっています。少子化対策は、若い世代の意見に真摯に耳を傾け、その視点に立って、若い世代が、自らの主体的な選択により結婚し、子どもを産み、育てたいと望んだ場合に、それぞれの希望に応じて社会全体で若い世代を支えていくことが基本です。現在はかつてのような結婚することが当たり前の社会ではなくなっています。ただ、男女とも8割以上が「いずれ結婚するつもり」と考えており、未婚の若者の結婚意思は1990年頃と比べ変化していません。若者の未婚化に対する対策に当たっては、若者の結婚意思は大きく変化していないにもかかわらず、どうしてこれほど結婚の希望が実現していない社会になっているのかを考えることが必要です。報告書は、2024年9月の中間報告を基礎に、若い世代が抱く恋愛・出会い、結婚、妊娠・出産、子育て等に関する考え方や課題認識、今後のライフデザイン支援の取組の具体化についてのワーキンググループの議論を取りまとめました。
【恋愛・出会いについて】若いうちほど、いつでも出会える、まだ結婚を考えるには早いといった思いが働き、恋愛や結婚よりも、別のやりたいことを優先しがちで、30代に差し掛かる辺りから、周囲の友人等の結婚などを契機に、出会いや結婚を意識し始める人が増えるという傾向が見られます。また、今の若い世代は、恋愛や結婚の理想像として、誰かに幸せにしてもらうという関係性よりも、一緒に幸せになるという関係性を好む傾向が見られ、互いが自立し、結婚後も働く・家事は分担するといった物理的な面はもちろん、精神的にも支え合える関係性を求める人も多いといった意見がありました。
【結婚について】若い世代は、結婚して家庭を持つのが当たり前といった考え方に縛られず、 結婚や子どもをもつことは、自分にとっての幸せを実現する手段の一つにすぎず、本人が希望する場合に選択するものと考えている人も多い。だからこそ、行政の基本姿勢としては、結婚、妊娠・出産、子育てに対する価値観に関わらず、あらゆる人にとって生きやすい社会の実現を目指すことが重要と指摘します。
【妊娠・出産、子育てについて】若い世代は、核家族化や地域コミュニティの希薄化の影響で、乳幼児の世話をしたり触れ合ったりした機会がないまま成人した人も少なくありません。そういった人は「子どもをかわいいと思えるか分からない」「自分が子どもを育てているイメージがない」ため、自分の人生において子どもをもつという選択肢を自分事として考える動機に乏しい。乳幼児の世話をした経験や妊孕力に関する知識を得た時、ライフプランについて考える授業を受けた時などは、子どもに興味を持ったり、妊娠・出産について自分事として考えたりするようになるきっかけとなりうるとしています。
【まとめ】当然ながら、ワーキンググループのメンバーとは異なる様々な立場・境遇にあり、様々な考え方をもつ若者がたくさんいます。ライフデザイン支援の推進は、息の長いサステナブルな取組が必要です。今後とも、若い世代の多様な意見も聴きつつ、審議会等で効果の検証も不断に行いながら、施策の議論・改善を継続してほしい、とまとめています。