こども家庭庁は、「遊びと体験」が0~5歳の乳幼児の育ちにどう影響するか調査しました
こども家庭庁は、2025年3月、「『幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン』策定後の具体的な取組推進 科学的知見の充実・普及に向けた調査研究(乳幼児の遊びと体験)」の報告書を公表しました。調査・報告は、こども家庭庁の委託を受けて株式会社NTTデータ経営研究所が担当しました(報告書は≪コチラ≫です。)。
こども家庭庁は、かねて2023年12月22日、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン)」を公表しました(ビジョンは≪コチラ≫です。)。子ども誕生前から小学1年生までのおよそ100か月が、生涯にわたるウェルビーイングの基盤となる重要な時期であることに着目しました。「アタッチメント(愛着)」と「遊びと体験」の重要性が強調されています。
今回の調査では「遊びと体験」が乳幼児の育ちにどう影響するか、「遊びと体験」へ影響する要素は何か、を探りました。調査に先だって「遊びと体験」を、「道具・おもちゃ遊び(例:パズル、ブロック)」、「製作遊び(例;塗り絵、工作)」、「ごっこ遊び(例:ロールプレイ)」、「遊具遊び(例:ブランコ、シーソー)」、「自然遊び(例:水、砂、泥遊び)」など11類型に分けました。そして、既存文献の調査、11の子どもの施設からのヒアリング、子ども・若者からの意見聴取をしました。
文献調査の結果では、「製作遊び」や「文化・芸術体験」、「イベント」の子どもの発達への影響や、「自然遊び」の乳児期の発達への影響、「ごっご遊び」や「受容遊び(アナログ)」の言語発達以外の発達への影響などが、今後充実が求められる領域であることが分かった、としています。
施設からのヒアリングでは、発達に影響するエビデンスの裏付けがあるからその遊び・体験を提供するというよりは、遊び・体験を発達の手段とせず、子どもの好奇心や興味を起点に遊び・体験を通じて発見や驚き、挑戦ができ、充実した時間にすることを目的に関わり、結果的に子どもが成長していく姿が観察された、としています。また、幼児教育・保育の専門家や子育てひろばスタッフ、プレーリーダーが子どもの主体的な遊びを尊重し、その言動に応答的に関わることで、一人ひとりの子どもの遊びの連続性が保障される状況が生まれており、結果的に「最後まで遊びに付き合ってほしい」という子どものニーズに応えられる環境が提供されていることが把握できた、としています。
子ども・若者からの意見聴取では、乳幼児期の遊び・体験は、子どもが成長してからもその時の感情とともに思い出に残っているものであり、子ども・若者の視点からもその後の自分自身の興味・関心の広さや言語力、社交性や対人能力などに影響していると捉えられており、重要な経験であることが示唆された、としています。また、周りの大人に対するニーズとして、遊びに最後まで付き合ってもらう時間、思いきり遊べる場所や日常とは違う体験ができる場所、同年代の仲間、こどもの遊びを尊重することが求められていた、としています。