こども家庭庁は、ウェルビーイング指標を調査しようとしましたが
こども家庭庁は、2025年3月、「こどものウェルビーイングに関連するデータ・統計に関する調査報告書」を公表しました。調査は、こども家庭庁の委託を受けて、エム・アール・アイリサーチアソシエイツ株式会社が2024年10月18日~2025年3月31日までの間に実施しました(概要版は≪コチラ≫、報告書は≪コチラ≫です。)。報告は専門性に富み難解さを否めませんが、結論はこのポストの後段に引用したとおりのようです。
調査の背景はどこにあるでしょうか。こども家庭庁は「こどもまんなか社会」の実現を目指しています。これは、「全てのこども・若者が、身体的・精神的・社会的に将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる社会」を作ることにあります。そうすると、ウェルビーイング指標をどうとらえるかが重要である、ということになります。
概要版は、「日本におけるこどものウェルビーイング指標整備への今後の論点の提示を念頭に、有識者に意見交換会にて議論いただいた内容を整理した。」として、有識者5名から提出された意見をもって「提言」としました。「提言」には「本調査におけるヒアリングでは、こどものウェルビーイングに関する様々な要素が挙げられたが、こどもによって何を幸せとするかの幸せの形は異なるため、これらの要素が必ずしもすべてのこどものウェルビーイングと結び付くとは言い切れないことは留意が必要である。今回調査した項目のうち、すべてのこどものウェルビーイングの必要十分条件となる項目は一部であると考えられる。一方、今後、ウェルビーイング指標を整備していくにあたっては、政策的な優先順位付けが行われることが想定される。その際、政策として何に焦点を当てていくのかと、個人としてどのように生きていくのかは、別の判断であるということを意識する必要がある。」とあります。
その「提言」の最後で「何をウェルビーイングとして生きていくかはこどもによって異なるものであり、居住地域によっても影響を受けると考えられる。そのため、例えば本調査を参考に自治体ごとにヒアリングを実施し、自治体のこどもの実情に合わせた指標を検討していくことが望ましい。」と述べます。ウェルビーイング指標の整理作業は道半ばのようです。と同時に、ウェルビーイング指標のような奥深いテーマを解明するには5か月あまりの調査や議論では足りないという制約もないとはいえません。