こども家庭庁調査:55.1%の成人は、子どもの権利条約を聞いたことがない

こども家庭庁は、2025年3月、「児童の権利に関する条約の認知度等調査(簡易版)」の報告書を公表しました。調査は、2024年12月5日~11日、高校生を除く全国の18歳以上のアンケート登録モニターを対象にしてアンケートを実施し、1000件の回答を得ました(報告書は≪コチラ≫です。)。

アンケートでは、子どもの権利条約に対する認知度(知っているか?)と理解度(内容を知っているか?)を問うています。認知度について「聞いたことがない」は55.1%に達しました。「聞いたことがある」は44.9%で、そのうち、「名前だけ聞いたことがある」は28.1%でした。理解度について「内容をよく知っている」は3.7%、「内容を少し知っている」は13.1%でした。これらを合わせても16.8%しか内容を知っていません。このような統計からすると、条約の認知度は依然として低く、理解度はさらに低い状況にあります。

条約の認知度・理解度について、性別で大きな差はありませんでした。年齢別に条約の認知度・理解度を分析しました。「聞いたことがある」と「内容を知っている」の割合は、18・19歳が61.9%と28.6%、20歳代が54.1%と25.1%、30歳代が33.0%と14.0%、40歳代が31.0%と14.0%、50歳代が34.0%と6.0%、60歳代が37.0%と11.0%、70歳代が51.0%と12.0%でした。30歳代~60歳代の条約の認知度・理解度は、他の年代と比べて低くなっています。

こども家庭庁はしばしば認知度調査を実施します。2024年3月にも認知度調査の報告を公表しました。その調査において、子どもの権利条約を「聞いたことがない」と答えた大人の割合は46.8%でした(関連記事は≪コチラ≫です。)。子どもの権利条約に対する国民の認知度は低いままです。子どもの権利条約を普及させ認知度を高めるための施策をこども家庭庁が中心となってしっかり実行する必要があります。たとえば、学校におけるブラック校則の存在が以前から指摘されていますが、子どもの意見表明権を本気で保障するならば子どもの意見を素直に聞いて改善を図るのが相当であるにもかかわらず、改善は見られないようです。子どもの虐待や自殺、貧困、いじめ、不登校など子どもの権利が侵害されるわが国の実態は深刻です。子どもの予算を増やして子どもの権利を実現する方向を追求する必要があります。子どもの権利をお題目で唱えるだけではなく、子どもに権利があることが実感できる社会に発展させなければなりません。