こども家庭庁は、自治体こども計画の作成支援をしています

こども基本法9条は、政府に対し、「こども大綱」の作成を義務づけ、政府は2023年12月22日こども大綱を決定しました。同法10条1項は、都道府県に対し、こども大綱を勘案して「都道府県こども計画」を作成する努力義務を課しました。また、同法10条2項は、市町村に対し、こども大綱と都道府県こども計画を勘案して「市町村こども計画」を作成する努力義務を課しました。こども家庭庁は、2024年5月24日、こども計画策定に必要な基礎事項、留意点、事例等をとりまとめた「自治体こども計画策定のためのガイドライン」を発しました(ガイドラインは≪コチラ≫、関連記事は≪コチラ≫です。)。

ところで、初の試みであり短期にまとめる必要もあるため、自治体の計画策定の担当者は苦慮しているようです。盛り込む事項は多彩で広範囲です。①こども大綱には、総合的・長期的な少子化対策、子ども・若者育成支援のための教育・福祉・保健・医療・矯正・更生保護・雇用その他の各関連分野の施策に関する事項、子どもの貧困対策の3つを含むので(こども基本法9条3項)、そうすると、こども計画にもこれらを盛り込まねばなりません。②こども大綱は、ライフステージに切れ目なく子どもや若者、子育て当事者を支援する方針を掲げ、全てのライフステージを通して実施されるべき7項目の重要事項を挙げます。7項目は、子どもの権利の主体性、遊びや体験、保健・医療、貧困対策、障害児・医療的ケア児支援、児童虐待防止対策・社会的養護推進・ヤングケアラー支援、自殺対策・犯罪対策です。③こども大綱は、出生から幼児期、学童期・思春期、青年期のライフステージに分け、各期に応じた重要事項を列記して施策に取り組むことを求めています。④子育てや教育に関する経済的負担の軽減やひとり親家庭への支援など、子育て当事者への支援に関する重要事項も挙げています。⑤子どもの権利条約に定められた子どもの意見表明権を保障するうえで、子どもや若者の意見を幅広く聴取して反映させるのに必要な措置を講ずることを求めています。⑥こども施策の基盤となる人材の確保、支援体制の構築や情報発信、意識改革、数値目標と指標の設定、他団体との連携などの推進も求めています。

こども家庭庁は、2025年3月、「自治体こども計画策定支援及び策定状況調査に関する調査研究」の報告書を公表しました(報告書は≪コチラ≫です。)。作成は、こども家庭庁から委託を受けて株式会社日本総合研究所が行いました。冒頭には「『ガイドライン改訂方針の検討』と『自治体への計画策定支援』の達成を意識して、自治体こども計画の策定状況に関するアンケート調査、ヒアリング調査を実施した」とあります。策定を支援するのですが、併せてガイドライン改訂方針が意識されているのが特徴です。