こども家庭庁は「こどもデータ連携ガイドライン(成案)」をまとめました

こども家庭庁は「こどもデータ連携」の取組みを推進し、2025年3月、「こどもデータ連携ガイドライン(成案)」をまとめました(ガイドラインは≪コチラ≫、HPは≪コチラ≫、関連記事は≪コチラ≫です。)。

「こどもデータ連携」とは何でしょうか、こども家庭庁のHPから引用します。「地方自治体が分散して保有しているこどもや家庭の状況や利用している支援等に関する福祉・保健・教育などの情報・データを、個人情報の適正な取扱いを確保しながら分野を越えて連携させることを通じて、潜在的に支援が必要なこどもや家庭を把握し、プッシュ型・アウトリーチ型の支援につなげる取組を推進しています。」。これは、自治体が保有する福祉・保健・教育・医療などのデータを分野横断的に連携し、支援が必要な子どもを発見しようとするものです。プッシュ型・アウトリーチ型支援とは、支援を必要とする子どもや家庭からのSOSや相談窓口への来訪を待つことなく、子どもや家庭のもとに出向く等、能動的に支援を届けることです。

対象となるデータは、「こどもや家庭が抱える様々な困難と関連性を有するもののみとし、必要最小限のものとする」とあります。具体的な項目は不明確ですが、その定義からするとほとんどの情報が該当しえます。株式会社野村総合研究所の2024年3月29日付「成果報告書」4ページには、住所、氏名、生活保護、児童扶養手当、就学援助、介護認定、医療機関受診状況、福祉サービス利用状況、母子手帳情報、保育園利用情報、児相通告・相談状況、要対協登録歴、出欠遅刻早退状況、学力・学習状況調査、保健室利用状況・来室理由、教育相談利用状況、心の天気、QUアンケート、SDQアンケート、虫歯の状況、水道料金滞納の有無・滞納回数、転出入回数、児童からのアプリでの毎日の回答状況など多数の項目が挙げられています(成果報告書は≪コチラ≫です。)。データを取扱う主体については自治体が予定され、国はデータを収集・保有しないという前提です。このようにして「こどもデータ連携」事業は前進しており、公募に応じた自治体による実証事業が毎年度実施されています。

しかし、こども家庭庁は、2025年3月、一時保護の要否をAIに判定させるツール導入の見送りを決めたばかりです(関連記事は≪コチラ≫です。)。AIやデジタル化によって支援の必要な子ども・家庭を抽出できるか不確かです。また、これ以外にも、文科省による「教育データの利活用」などデータの利用が進んでいます(≪コチラ≫参照)。全世代にわたるマイナンバーカードの情報が紐づけされれば、巨大な監視システムにつながる可能性もあり、デジタル社会の本格的到来を前に民主的運営を確立することが不可欠という声もあがっています