放課後児童クラブ運営指針が改正されました。施行は2025年4月1日です

全国には、2023年5月1日時点で2万5807ヶ所の放課後児童クラブがあり、145万7384人の子どもが登録しています(資料は≪コチラ≫です。)。1950年代に核家族や共稼ぎが増え、放課後の子どもに遊びや生活の場を提供して子どもの育成を図る学童保育が各地に広がりました。1998年の児童福祉法改正により、学童保育は放課後児童健全育成事業を行う第二種社会福祉事業として法制化されました(同法6条の3第2項)。

運営指針で、放課後児童クラブは「年齢や発達の状況が異なる多様なこども達が一緒に過ごす場である。放課後児童支援員等には、それぞれのこどもの発達の特徴やこども同士の関係を捉えながら適切に関わることで、こどもが安心して過ごせるようにし、一人ひとりと集団全体の生活を豊かにすること」が求められています。単なる預かりの場ではなく、異年齢の子どもとの交流を通じて社会性を習得する絶好の場所となっています。

放課後児童クラブ運営指針は、2025年1月22日付で改正され、こども家庭庁から関係自治体に通知されました。改正運営指針は、こども基本法及びこどもの居場所づくりに関する指針を踏まえ、子どもの権利を保障する記載などを充実させました。この改正は、児童館ガイドライン改正と趣旨は共通です(改正運営指針は≪コチラ≫、新旧対照表は≪コチラ≫、関連記事は≪コチラ≫です。)。主な新設事項・改正事項を一覧表にしました。項目はスペースの都合から一部変容しています。

項目新設事項・改正事項(括弧書きを省いた外、原文のままです)
事業の役割放課後児童クラブの運営主体及び放課後児童クラブは、児童福祉法及びこども基本法並びに児童の権利に関する条約の理念に基づき、こどもの最善の利益を優先して考慮し、育成支援を推進することに努めなければならない。
社会的責任放課後児童クラブは、自ら進んでこどもの権利について学習を行った上で、育成支援を行う必要がある。
放課後児童クラブの運営主体は、放課後児童支援員及び補助員に対し、その資質の向上のために職場内外の研修の機会を確保しなければならない。特に、こどもの権利に関する学習の機会を保障することに努める。
放課後児童クラブ及び放課後児童クラブの運営主体は、こどもの権利が侵害される事案が発生した場合の対応方法について定め、あらかじめこどもに周知しておき、事案発生時には適切に対応する必要がある。
育成支援の内容放課後児童クラブに通うこどもが遊びや生活の中で、自身の権利を理解できるような環境や機会を設けることが求められる。その内容について、保護者に周知するように努めること。
放課後児童クラブに通うことについて、その必要性をこどもが理解できるように援助する。その際、こどもの意見も踏まえ、その権利が侵害されないよう、保護者や学校等関係機関と連携して対応する。 こどもが放課後児童クラブでのルール等について意見を表明する機会を持つことや、こどもの生活や遊びに影響を与える事柄については、こどもが放課後児童支援員等と共に考え、共に決めることができるよう努める。
性暴力防止のため、こどもの発達段階に応じた啓発を行う。また、放課後児童支援員等からこどもへの性暴力及びこども間での性暴力が発生した際に適切かつ迅速に対応できるよう体制を構築する。
運営主体こどもの権利に関する理解を深め、放課後児童支援員等に対するこどもの権利に関する学習の機会を設ける。