警察庁公表:2023年における児童虐待による検挙数

警察庁は、2024年9月13日、「令和5年中における少年の補導及び保護の概況」を公表しました。そこには、20歳未満の子どもが加害者又は被害者となった刑事事件の統計が詳しく述べられています(報告書は≪コチラ≫です。)。

その統計中に、2023年中の児童虐待事件の検挙の状況が述べられています。ここでは、その一端を紹介します。なお、検挙とは、警察・検察などの捜査機関が認知した事件についてある人物を被疑者として特定することをいいます。法律上の用語ではなく、捜査関係者の間で慣行的に使用される専門用語ですので、明確な定義はありません。逮捕よりも広い概念です。また、その人物がその先刑事裁判にかけられるとも限りません。

児童虐待事件として2023年中に検挙された件数は2385件で、前年より204件増加し、過去最多でした。児童虐待の類型別の内訳は、身体的虐待1903件、性的虐待372件、ネグレクト45件、心理的虐待65件でした。検挙人員は2419人で、前年より197人増加し、これも過去最多でした。

検挙された罪の種類としては、多い順番に、傷害罪913件、暴行罪911件、不同意わいせつ罪184件、不同意性交等罪149件、暴力行為等処罰法違反70件、殺人罪39件、保護責任者遺棄罪37件などでした。死亡した子どもは28人でした。罪名別でみると、殺人罪14人、傷害致死罪7人、保護責任者遺棄致死罪4人、重過失致死罪3人でした。なお、わが国には、児童虐待罪という罪は法律に規定されてはいません。刑法や特別法によって検挙され裁かれることになっています。