2024年版犯罪白書:少年院入院者の男子の41.9%、女子の54.5%に被虐待経験あり

法務省は、2024年12月20日、2024年版の犯罪白書を公表しました。2024年版白書には2023年の日本国内外の犯罪の動向や犯罪者の処遇が約400ページにわたって書かれています。子どもの関係では、満20歳未満の者の検挙人員は長らく大幅な減少が続いていましたが、2022年に増勢に転じ、2023年は2年連続で増加しました。児童虐待事案や配偶者からの暴力事案等も増加傾向にあり、わが国の犯罪情勢は予断を許さない状況にあると白書は指摘します(白書は≪コチラ≫、前年の記事は≪コチラ≫です。)ここでは児童虐待に関する統計を見てみます。

2023年に少年院に入院した者は男子1498人、女子134人の合計1632人でした。入院者のうち、保護者らから児童虐待を受けた経験を持つ者の割合を男女別に示したグラフは下記のとおりです。男子で41.9%、女子で54.5%に被虐待経験がありました。女子は男子に比べ、保護者らからの被虐待経験があるとする者の割合が高くなっています。被虐待児は将来非行に陥る可能性が高いと言われており、その傾向が表れています。なお、ここでいう被虐待経験の有無は、入院段階における入所者自身の申告等によって把握したものに限られていることに注意を要します。いずれにしましても、児童虐待が被虐待児に非常に悪い影響を及ぼすことの証左といえます。

(出典 法務省「2024年版犯罪白書」 148ページ)

刑法などに違反して検挙された事件のうち、児童虐待を伴っているものを「児童虐待に係る事件」といいます。これを罪名別に分けて、その検挙件数と検挙人員の総数の推移を示したグラフは下記のとおりです。2023年の検挙件数は2385件(前年比9.4%の増)、検挙人員は2419人(同8.9%の増)でした。2004年(平成16年)と比べると、検挙件数で約8.4倍、検挙人員で約7.8倍にのぼっています。罪名別では、特に暴行罪や不同意わいせつ罪が顕著に増加しています。

(出典 法務省「2024年版犯罪白書」 214ページ)