2024年版の自殺対策白書が閣議決定されました
政府は、2024年10月29日、2024年版の「自殺対策白書」を閣議決定して公表しました。近年のわが国の自殺者総数は減少傾向にありますが(それでも、2023年は2万1837人も亡くなっています。)、子どもの自殺者は逆に増加しています。2022年の小中高生の自殺者は過去最多の514人、2023年は513人にものぼっています。大勢の子どもが自ら死を選ぶ社会に明るい未来は望めません。子どもが自殺に追い込まれることのない社会を築かなければなりません(概要版は≪コチラ≫、子どもの自殺に関する記述部分は≪コチラ≫、前年度の記事は≪コチラ≫です。)。
白書は、小中高生の自殺者の過去の自殺未遂歴を調べました。2022年~23年に自殺した小中高生1027人の約2割に自殺未遂歴が認められました。「小中高生では男女ともに自殺未遂があった時期が自殺の1年以内である場合が過半数を占め、特に女子小学生や女子高校生では、自殺から1か月以内に自殺未遂歴があった自殺者の割合が高い。」としています。このことからしますと、自殺未遂が発生した段階で漫然と対応するのではなく、直ちに専門家の支援につなげることなどが自殺予防のために重要です。また、白書は、長期休暇明けに小中高生の自殺が増加する傾向について論及しています。「2009年以降の小中高生の自殺者数を日別でみると、8月後半から増加し、特に夏休み明けの9月1日に多くなっている。」としています(関連記事は≪コチラ≫です。)。
チャイルドラインから、希死念慮をかかえた子どもからの電話の傾聴についてのコラムが寄せられています。「そんなことで死にたいなんて言うな、とかじゃなくて『がんばったね』『大丈夫だよ』っていわれたかった。死にたいって思ってしまう自分を認めてくれる人が隣にいてほしい。」という事例が挙げられています。そして、「注目すべきは『誰かとつながっていたい』という項目で、会話成立全体では4.6%なのに対し、希死念慮の電話では16.6%と、12ポイントの開きがあることです。また逆に『答えが欲しい』は会話成立全体では14.2%に対し、希死念慮の電話では5.1%と、9.1ポイント低いことが特徴です。こどもは『死にたい・消えたい』という思いを直接解決してほしいというよりも、『聴いてほしい』『つながっていたい』と望んでいると読み取ることができ、まずは問題解決以前に気持ちを受け止め、寄り添うことが何より必要な支援であるといえます。」と述べています。
(出典 「自殺対策白書」 58ページ)