2023年度の全国の通級指導が初の20万人超え。文科省の調査から
通級指導教室とは何でしょうか。通級指導教室とは、小中高校に在籍する子どもが、通常の学級での授業に加えて、週に数時間程度、別の教室で特別な指導を受ける制度で、通級とも呼ばれています。この制度は、発達に特性がある子どもや、学習や生活に困難を抱える子どもを対象としています(知的障害は通級指導の対象とはされていません。)。通級指導教室では、一人ひとりの特性に合わせた支援が行われ、通常の授業と並行して学ぶことができます。通級はすべての学校に設置されているのではなく、授業を受ける方法には3種類あります。その3つとは、通っている学校に設置されている通級に通う「自校通級」、ほかの学校の通級に通う「他校通級」、教師が学校を訪問する「巡回指導」です。1993年度から小中学校で制度化され、2018年に高校に拡大されました。
通級指導を受けている国公私立の小中高校の児童生徒数が、2023年度は20万3376人だったことが文科省の「令和5年度 通級による指導実施状況調査」で分かりました。通級指導を受けている児童生徒数は、制度創設から現在まで年々増加しており、2022年度からは5033人増加しました。調査を踏まえて、文科省は、2025年7月16日、全国の教育委員会その他学校関係者へ通知を出し、指導体制の充実、児童生徒保護者に対するわかりやすい説明、自校通級や巡回指導(こちらの方が、子どもが慣れた環境で指導を受けられるため)の一層の促進を求めました(通知は≪コチラ≫、調査結果は≪コチラ≫です。)。
2023年度に通級指導を受けた20万3376人の内訳です。言語障害が4万7069人、注意欠陥多動性障害(ADHD)が4万4107人、自閉症が4万1171人、学習障害(LD)が4万396人、情緒障害が2万8274人、難聴が1805人、弱視が257人、肢体不自由が149人、病弱・身体虚弱が148人でした。
学校種ごとの人数です。公立小学校では16万6403人で(前年度比1835人増)、公立小学校に在籍する児童数全体に占める割合は2.8%でした(前年度は2.7%)。公立中学校では3万4393人で(前年度比 2878人増)、公立中学校に在籍する生徒数全体に占める割合は1.2%でした(前年度は1.1%)。公立高校では2327人で(前年度比314人増)、公立高校に在籍する生徒数に占める割合は0.1%でした(前年度は0.1%)。小学校 ・中学校・高校の全てにおいて前年度より増加していました。