11月20日は「World Children’s Day(世界子どもの日)」。ユニセフは「世界子供白書2025」を公表しました

11月20日は、「世界子どもの日」です。世界の子どもたちの相互理解と福祉を向上することを目的として、1954年に国連によって定められました。国連などの国際機関が制定した記念日「国際デー」のひとつです。11月20日は、国連総会で、1959年11月20日に「児童に関する権利の宣言」が採択され、その30年後の1989年の11月20日に「子どもの権利条約」が採択された日であり、1990年より記念されています。毎年11月20日には、子どもの権利の理解を深め子どもの福祉を向上させることを目的として、世界各地でさまざまな取り組みが行われています(2024年世界こどもの日でのグテーレス国連事務総長のスピーチ抜粋は≪コチラ≫、ユニセフのHPは≪コチラ≫です。)。

ユニセフ(国連児童基金)は、「世界子どもの日」にあたる2025年11月20日、「世界子供白書2025:子どもの貧困を撲滅する-私たちの共通の責務」を公表しました(白書要約は≪コチラ≫です。)。白書は、130を超える低・中所得国のデータに基づき、教育・健康・住宅・栄養・衛生・水の6分野における剥奪を分析することで、多次元貧困の広がりを明らかにしています。分析によれば、1億1800万人の子どもが3つ以上の剥奪を経験し、1700万人が4つ以上の剥奪に直面している、としています。

子どもの多次元貧困はサハラ以南アフリカと南アジアに集中しており、この地域の多次元貧困率が特に高くなっています。例えばチャドでは、子どもの64%が2つ以上の深刻な剥奪に、また25%弱が3つ以上の深刻な剥奪に直面しています。衛生環境の剥奪は最も広範に見られ、低所得国では65%、下位中所得国では26%、上位中所得国では11%の子どもがトイレを利用できません。適切な衛生環境の欠如は、子どもたちの疾病リスクを高めます。

白書は37の高所得国を対象とした分析も含んでおり、これらの国々に暮らす子どもの23%に当たる約5000万人が相対的金銭的貧困状態にあることが明らかになっています。これは、世帯収入が国内の大多数の世帯よりも著しく低く、日常生活に制約が生じる可能性があることを意味します。高所得国37カ国全体では、2013年から2023年にかけて貧困率が平均2.5%低下したものの、進展が停滞または後退したケースが多々あります。例えばフランス、スイス、英国では子どもの貧困率が20%以上増加しました。他方、スロベニアでは充実した家族手当制度と最低賃金に関する法律により、同期間に貧困率を4分の1以上減少させました。