長野県社会的養育推進計画(後期計画)で、2029年度の里親等委託率の目標を決定。就学前の子どもで75%、学童期の子どもで55.6%
長野県は、2025年3月、新しい長野県社会的養育推進計画(後期計画)を公表しました。もともと長野県は、2020年6月、計画期間を2020~29年度の10年間とする計画を作りました(概要版は≪コチラ≫です。)。そこでは、10年間を前期5年間(2020~24年度)と後期5年間(2025~29年度)に分け、前期最終年の2024年度に見直して、後期5年間に向けた計画を練り直すことにしていました。また、2022年6月改正により、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制を強化する規定が児童福祉法に設けられました。これらを踏まえ、長野県はこの度、2025~29年度の5年間を計画期間とする長野県社会的養育推進計画の見直しを行ったものです(以下、新計画とします。新計画は≪コチラ≫、関連記事は≪コチラ≫です。)。
新計画では家庭養育優先原則を今まで以上に推進します。この原則とは「まずはこどもが生まれ、育てられている家庭で健やかに養育されるよう、父母らの養育を最大限支援した上で、父母らによる家庭での養育が非常に困難または適当でない場合には、養子縁組や里親等による養育をこどもに保障していくこと」です。この立場から、里親・ファミリーホームへの委託の割合を高めていきます。
新計画は、現状の里親等委託率を毎年度徐々に高め、最終的に2029年度の数値目標を設定しました。里親等委託率とは、家庭で適切な養育が受けられないため施設や里親等の下で生活している子どものうち、里親やファミリーホームで生活している子どもの割合です。
2023年度における3歳未満の子どもの里親等委託率は38.8%でした。これに対し、2029年度の目標を75%に設定しました。3歳以上~就学前の子どもの委託率は38.2%でした。これに対し、2029年度の目標を同じく75%に設定しました。学童期以降の子どもの委託率は21.5%でした。これに対し、2029年度の目標を55.6%に設定しました。登録里親世帯数を255→500、ファミリーホーム数を5→15に高めます。里親・ファミリーホームへの委託が必要な子ども数は118人→263人と見込みます。県内の地区別の里親・ファミリーホーム数の目標も掲げます。さらに、現在2施設にとどまる県内の里親支援センターの数を2029年度には10施設に増やす目標も掲げました(関連記事は≪コチラ≫です。)。
- 社会的養育推進計画は、家庭養育優先原則を徹底し、子どもの最善の利益の実現に向けて、全ての子ども及びその家族を社会全体で支えていく取り組みを推進するための計画です。従前は施設等で生活する子どものサポートの意味で「社会的養護」が用いられましたが、全ての子ども及び家族を支援の対象に広げたことなどの理由から「社会的養育」の考え方に転換しました。