警察庁公表:子どもがSNSに起因する犯罪に巻き込まれないために
インターネットを悪用した犯罪に巻き込まれる子どもが後を絶ちません。スマホの普及にともない、不特定多数人とコミュニケーションがとれるWebサイトや通信ゲーム等のSNSを通じて、面識のない相手方と子どもがつながることが容易になっています。児童買春や児童ポルノなど、子どもの心身を狙った重大かつ悪質な犯罪の被害に遭った子どもの数は、高水準で推移しています。また、子ども自身が加害者となって犯罪にかかわってしまうこともあります。警察庁は、子どもを被害者にも加害者にもさせないため、2025年6月、「インターネット利用に伴う子供の被害等の状況について」を公表しました(文書は≪コチラ≫です。)。
【子どもの性被害等の情勢】SNSに起因する事犯の被害児童は、2024年は1486人にのぼりました。5年連続で減少しましたが、依然として高い水準にあります。そのうち小学生の被害児童は136人でした。10年前の2015年の35人に比べ3倍以上に増加しました。1486人のうち、重要犯罪の被害児童は458人で、増加傾向にあります。内訳は、不同意性交等罪が287人、不同意わいせつ罪が102人、略取誘拐罪が66人でした。2024年において、SNSに起因する事犯の被害児童と被疑者が知り合うきっかけとなった最初の投稿者が児童側だったのは1071件で、全被害の約7割に達しました。投稿の内訳は、プロフィールのみ、趣味・嗜好、日常生活、友だち募集などであり、一見して犯罪に巻き込まれるとは考えにくいものが約半数でした。オンラインゲームに起因する被害児童は、過去5年で見ると増加傾向にあり、2024年のSNS起因被害児童1486人のうち、オンラインゲームに起因する被害児童は98人で、中学生が最多でした。
【事例①コスプレ撮影を口実にした児童買春事件】自営業の男(50歳代)は、女子中学生のSNSの投稿を見てメッセージを送信して知り合いになりました。男は、コスプレ撮影会に来てくれればお金を払う約束をして面会しました。男は中学生をホテルに誘い、現金を渡して性交等に及びました。警察は、不同意性交等罪、児童買春・児童ポルノ禁止法違反で男を検挙しました。
【事例②ゲームアプリの課金を約束した児童ポルノ製造事件】アルバイトの男(30歳代)は、オンラインゲームを通じて男子中学生と知り合い、その後SNSでやり取りしました。男は、中学生にゲームアプリの課金を約束し、SNSでわいせつ行為の動画を送信させました。警察は、16歳未満の者に対する映像送信要求罪、不同意わいせつ罪、性的姿態撮影罪、児童買春・児童ポルノ禁止法違反で男を検挙しました。
【事例③SNS上の画像を悪用した児童ポルノ製造事件】無職の男(20歳代)は、女子小学生が投稿した顔写真にわいせつな文言を加えた画像をダイレクトメッセージで小学生に送信しました。男は、言うことを聞かないと写真をバラまくなどと脅しました。男は、小学生にわいせつ動画を撮影させて送信させました。警察は、16歳未満の者に対する映像送信要求罪、不同意わいせつ罪、児童買春・児童ポルノ禁止法違反で男を検挙しました。