自治体の母子・父子自立支援員は、ひとり親家庭の相談支援をしています
株式会社NTTデータ経営研究所は、2025年3月、「ひとり親家庭支援における相談支援に必要な人材の在り方及び支援者の人材養成に関する調査研究」の報告書を公表しました。調査はこども家庭庁からの助成により実施されました(報告書は≪コチラ≫です。)。
【調査の背景】ひとり親家庭には様々な支援制度がありますが、窓口が不統一で、各制度を詳細に把握する職員体制も希薄なため、必要とする制度にたどりつけない可能性があります。そこで、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」で、ひとり親家庭への相談支援に携わる母子・父子自立支援員(以下、支援員といいます。)を自治体に配置することにしました。2021年時点で支援員は1788人、相談件数は67万7337件に至っています。ところが、支援員の雇用は会計年度任用職員(パートタイム)が多く、半数近くの市町村で1 名体制です。その立場上、関係機関と積極的に関わることが難しい一面もあります。2021年の調査によると、「相談技術の向上が必要」と回答した支援員の割合は6割に上りました。これまでも手引きはあり、こども家庭庁による年1回の研修会もありますが、相談支援に必要な人材の在り方は未整理で、相談から支援の実施及び継続支援に至る流れも体系化されていないため、支援員個人の力量や努力に依存しがちです。支援員の人材育成も自治体に委ねています。2023年の調査では支援員の経験年数3年未満が41%でしたから、経験の浅い支援員であっても質の高い相談支援を実現するための方策を用意することが必要です。こうした理由から本調査が行われました。
【ひとり親家庭への支援に求められる視点】ひとり親家庭の相談は困り事・悩み事だけではなく、各制度についての問合せが多く、その背景には相談者の困り事・悩み事が隠れているので、課題や潜在的な支援ニーズをとらえて支援を行うことが求められます。複雑で複合的な課題を抱えるひとり親家庭には、困難な課題の解決や自立に向けて継続的に支援することが求められます。
【ひとり家庭親への支援に必要な支援体制と実態】これらを踏まえ、ひとり親家庭への支援においては、①支援員の相談支援の質の担保・向上を図ること、②ひとり親家庭の多様な状況を踏まえた制度・事業や関係部署・機関に関する知識を持つこと、③多様な関係部署・機関と連携してそれぞれの専門性を活かしながら対応すること、などが求められます。
【ハンドブックを作成しました】相談支援の初任者でも、ひとり親家庭への支援における重要なポイントを理解し、相談支援に従事できるようになることを目指してハンドブックを作成しました。