福祉医療機構:職員が不足している病院は7割超
独立行政法人福祉医療機構は、福祉施設や医療機関(公立病院は含まれません。)に資金を融通したり経営指導や助成、共済制度を行ったりする独立行政法人です。同機構は、2025年7月22日~8月14日、融資先などの病院1955法人を対象にWebにより、同年4月1日時点における病院の人材確保に関する調査を実施し、412法人(434病院)から回答を得て(回答率は21.1%)、2025年10月15日、その結果を公表しました(概要版は≪コチラ≫、全文は≪コチラ≫です。)。
【職員の充足状況】「職員が不足している」と回答した病院は74.7%にのぼりました。不足している職種は、「看護師」が79.6%ともっとも多く、次いで「看護補助者」が71.0%、「医師」が38.9%でした。直近の特別養護老人ホームにおける調査結果が69.0%であったことから、医療分野も深刻な状況は同様であることが確認できた、としています。また、2025年4月の有効求人倍率は、「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」が3.00 倍、「保健師、助産師、看護師」が2.18倍であるなど、全職業平均の1.18倍よりも高い水準となっています。職員確保が難しい要因は、61.7%が「他産業より低い賃金水準」を挙げ、次いで「近隣の病院・施設との競合」が60.5%でした。
【職員不足の影響で生じている事象】職員不足の影響で生じている事象としては、「現場負担の増加による退職や休職の増加」が68.5%ともっとも多く、「病院の機能の見直し」が31.2%で続きました。職員が不足していることから、一人当たりの業務量が増加し、さらなる退職や休職を招くという負の循環に陥っていることも考えられる、としています。
【採用活動の状況】採用に結びつく効果がもっとも高かった媒体・経路は、常勤医師・非常勤医師・医師以外の正規職員のいずれも「人材紹介会社」が最多でした。
【人材紹介会社の利用状況】「紹介の迅速さ」を評価する病院が67.1%を占める一方で、「紹介手数料」について評価する病院は7.9%にとどまりました。1 年間の紹介手数料の総額を確認したところ平均1469万円で、これは1 病院当たりの医業収益の0.60%に相当します。紹介手数料を負担に感じている病院も少なくないことがうかがえます。
【退職の状況】97.2%の病院で正規職員の退職者がいました。退職理由は、「他の医療機関への転職」が75.6%でした。その一方、「医療機関以外への転職」は14.2%にとどまりました。
【賃上げの状況】2024年度および2025年度のいずれも賃上げを実施した病院は38.9%という結果でした。直近の経営状況から2か年度連続の賃上げは難しいのかもしれない、としています。
