環境省「エコチル調査」:PFASが妊娠・出産に負の影響をもたらす可能性が示唆されました
PFAS(ピーファス)は有機フッ素化合物の一種で、1万以上の種類があるとされています。PFASは、撥水性・發油性・耐熱性などに優れ、様々な分野で広く使用されています。しかし、環境中で分解されにくく、人への影響が懸念されています。
環境省は、2011年から、10万組の子どもとその両親の参加の下で、大規模な疫学調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を実施しています。エコチルとは、「エコロジー」「チルドレン」の組み合わせだそうです。胎児期から小児期にかけて定期的に健康状態を確認し、環境要因が子どもの成長・発達にどのような影響を与えるのかを明らかにする調査です(HPは≪コチラ≫、研究の要約は≪コチラ≫です。)。
名古屋市立大学の研究チームは、エコチル調査に協力している妊婦のうち約2万3600人のデータを用いて、妊娠前期の母親の8種類のPFAS(下記注①)の濃度と14種類の妊娠・出産時の様々な事象(下記注②)の関連を解析しました。その結果が2026年1月20日公開されました。ただし、本研究の内容は著者の意見であり、環境省及び国立環境研究所の見解ではないとの注釈があります。
以下の結論を得ました。●妊婦の8種類の血中PFAS濃度と10種類の妊娠・出産時の様々な事象(帝王切開分べん、子宮内胎児発育遅延、新生児合併症、胎児機能不全、前置胎盤、切迫流産、過期産、妊娠37週以降の前期破水、切迫早産、妊娠中体重増加の低下)または下記注②の14種類の妊娠・出産時の様々な事象のいずれかとの間に関連が見られました。●妊婦の血中PFOA濃度が最も高い集団では、最も低い集団に比べて、前置胎盤の割合が2.5 倍でした。●妊婦の血中PFOA濃度は、妊娠中の体重増加と負の関連を示しました。●子宮内膜症の有無により、PFAS 濃度と妊娠・出産時の事象(帝王切開分べん、切迫早産、新生児合併症、切迫流産、14種類の妊娠・出産時の様々な事象のいずれかあり)の関連に差異が見られました。 ●本研究で、妊婦の血中PFAS濃度と新生児の合併症や切迫流産との関連が初めて示唆されました。
〔注①〕本研究では、PFAS のうち、PFOA、PFNA、PFDA、PFUnA、PFDoA、PFTrDA、PFHxS、PFOSを取りあげました。
〔注②〕本研究では、帝王切開分べん、妊娠 37 週未満の前期破水、妊娠37 週以降の前期破水、前置胎盤、早期膜剥離、早産、過期産、新生児合併症、切迫流産、切迫早産、子宮内胎児発育遅延、胎盤癒着、胎児機能不全、妊娠中体重増加の低下の14種類の事象を解析対象としました。
