法務省:2025年版犯罪白書を公表。少年院入院者の男子の42.6%、女子の63.9%に被虐待体験あり
法務省内の法務総合研究所は、2025年12月19日、2025年版の犯罪白書を公表しました。犯罪一般は割愛し、児童虐待に関する記事をみてみましょう(白書全文は≪コチラ≫、前年の記事は≪コチラ≫です。)。
【少年院入院者に占める被虐待経験者の割合】2024年における少年院への入院者の総数は、男子が1670人、女子が158人で、合計1828人でした(前年比12.0%増)。そのうち、保護者から児童虐待を受けた経験があると入院者自身が入院時に申告した割合は、男子が42.6%、女子が63.9%でした。男子の類型別の内訳は、身体的虐待34.6%、性的虐待0.1%、ネグレクト4.0%、心理的虐待3.9%でした。女子の内訳は、身体的虐待39.9%、性的虐待7.6%、ネグレクト6.3%、心理的虐待10.1%でした。虐待なしと申告したのは、男子が56.8%、女子が32.3%でした。なお、受刑者に占める被虐待経験者のことには全く触れていません。被虐待経験の有無は重要ですので調査結果を明示した方が良いのではないでしょうか。
【児童虐待に係る事件】刑事事件のうち、児童虐待を伴っている事件を「児童虐待に係る事件」といっています。2024年の検挙件数は2649件(前年比11.1%増)、検挙人員は2682人(同10.9%増)でした。2005年(275件、295人)に比べると、検挙件数で約9.6倍、検挙人員で約9.1倍に増加しています。検挙件数を罪名別にみると、上位の5罪は、傷害罪(1041件)、暴行罪(985件)、不同意わいせつ罪(228件)、不同意性交等罪(162件)、殺人罪(72件)でした。
【18歳未満の子どもを対象とする代表者聴取のやり方(代表者聴取については≪コチラ≫をご参照ください)】代表者聴取は、事件を認知した警察から検察庁への連絡を契機として検察・警察・児相の3者が協議します。代表者聴取を必要と判断したときは、早期実施のため、聴取の手順・内容を調整し、聴取の場所・機材の設営を準備します。聴取を担当する代表者(検察官が多い)は、司法面接的手法のプロトコル(誘導質問の原則禁止、早期・短時間の面接、ラポール〔児童がリラックスして話しやすい関係性〕形成の重要性、ピア・レビュー〔相互評価〕、継続訓練の重要性など)を踏まえ、短時間の面接で必要事項をまとめて子どもから聴取します。代表者以外の者は、別室で聴取状況をモニターで見ながら、必要に応じて代表者に、電話により、あるいは休憩時に直接、補充して質問すべき事項を伝えます。
【代表者聴取の実施件数】2015年度にスタートした代表者聴取の2023年度における実施件数は3386件でした。年齢別では、7歳~11歳は、それぞれ300件を超えて他の年齢より多く、次いで、5歳、6歳、12歳~14歳は、それぞれ200件台、4歳、15歳、16歳は、それぞれ100件台でした。犯罪種別では、性犯罪が58.7%で最も高く、次いで、傷害等が39.3%でした。
