民間研究所:読書をしない子どもは、10年間で1.5倍に増加

株式会社ベネッセコーポレーション(本社は岡山市)の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、東京大学社会科学研究所と共同で実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」から、子どもの読書行動やスマホの利用との関係などに関するデータをとりまとめ、2025年10月20日、その結果を公表しました。語彙力の点を除き、調査は、2015年から継続して毎年7~9月に実施されてきました。2024年の調査は約2万人の小中高生を対象に行われ、1万2242人から回答がありました(報道資料は≪コチラ≫です。)。

【読書を「しない」層が1.5倍に増加】1日の中で読書を「しない」(0分)という回答は52.7%(2024年)と半数を超えました。10年前(2015年、34.3%)と比べて読書を「しない」層が1.5倍に増加しました。

【いずれの学校段階でも読書時間は減少傾向】いずれの学校段階でも読書時間は減少傾向にありました。特に、小4生より上の学年で減り幅が大きく、1日あたりの読書時間は、2015年から2024年にかけて、小4~6生は6.3分、中学生は5.9分、高校生は4.9分減少しました。

【スマホの使用時間は大幅に増加】いずれの学校段階でもスマホ時間は増加しました。1日あたりのスマホ使用時間は、2015年から2024年にかけて、小4~6生では22.4分、中学生では51.9分、高校生では42.5分増加しました。

【スマホ時間が長いと読書時間は短い】小4~6生と中学生では、スマホ時間が長い子どもほど読書時間が短い傾向がみられました。スマホ時間が長いと読書時間が短くなる可能性がある、としています。

【スマホ時間が読書時間に与える影響】2022年に小4だった子どもを小6まで追跡してスマホ時間が読書時間に与える影響をみたところ、小4のスマホ時間が長いと小6の読書時間が短くなることがわかりました。同様の結果は、中1から中3の追跡、高1から高3の追跡では確認できませんでした。スマホ時間が読書時間に与える影響は、学年が低いほど大きいことが示唆される、としています。

【読書時間が長い子どもほど語彙力が高い傾向】小3、小6、中3生は読書時間が長い子どもほど、語彙力の得点が高い傾向がみられました。高3生では、読書時間「30分」の子どもの得点がもっとも高い結果でした。小中学生のうちは、一定の時間の読書が語彙力を高める可能性がある、としています。

【保護者が読書の大切さを伝えるほど子どもは読書をする】読書を「しない」(0分)比率は、家庭教育の中で「本や新聞を読むこと」の大切さを「伝えている」と答えた保護者の子どもは44.0%だったのに対して、「伝えていない」と答えた保護者の子どもは67.9%でした。保護者が読書の重要性を伝えることには、子どもの読書を促進する効果があると考えられる、としています。