民間研究所:子どものなりたい職業は? 家庭で子どもと話すきっかけにしてみては
株式会社ベネッセコーポレーション(本社岡山市)は、教育・介護サービスなどの提供を目的とする会社です。関連のベネッセ教育総合研究所は、東京大学社会科学研究所と共同して、子どもの「なりたい職業」を調査し、2025年5月30日、その結果を公表しました(概要版は≪コチラ≫、データ集は≪コチラ≫です。)。調査は、2015年から継続して毎年7~9月に実施されてきました。2024年の調査は約2万人の小中高生を対象に行われ、1万2242人から回答がありました。「この情報をきっかけに、ぜひご家庭でお子さまと将来について話し合ってみてください。」としています。
社会や教育が変化する中でも、子どもたちに人気の職業は過去10年間で大きく変わりませんでした。小学生の1位は、2015年も2024年も「プロスポーツ選手」でした。中高生にとっては、身近な存在である「教員」が2015年も2024年も1位でした。なお、小学生のランキングでは「YouTuber・VTuber」が圏外から4位に躍り出し、高校生では「SE・プログラマー」が6位に順位を上げました。デジタル技術を活用した新しい職業への関心が高まっています。
多くの中高生にとって「教員」は、魅力的な職業となっています。ところが、現在、教員のなり手不足が社会的な課題となっています。この結果から、実際に進路選択を考える段階で直面する教育現場の労働環境や教員の待遇といった現実的な問題が、教員志望を減退させる要因となっている可能性も考えられる、と指摘しています。
性別による傾向も明らかにしています。小学生男子では「プロスポーツ選手」が圧倒的な人気を誇り、「YouTuber・VTuber」や「研究者・大学教員」がそれに続きます。一方、女子の1位は「店員(花屋・パン屋など)」で、「看護師」「パティシエ」「保育士・幼稚園教員」などが上位にランクインしています。中学生になると、男子は「プロスポーツ選手」に加え、「教員」「医師」「ゲームクリエイター」などが人気を集め、女子は「教員」「看護師」「保育士・幼稚園教員」「医師」などが上位を占めます。高校生では、男女ともに「教員」が1位となり、男子は「SE・プログラマー」や「医師」、女子は「看護師」「保育士・幼稚園教員」などが続いています。これらの結果からは、職業選択において性別が少なからず影響を与えていることがうかがえます。性別による関心の違いは、社会的な固定観念にとらわれ過ぎている場合があるかもしれません。固定概念の影響を注意深くみるとともに、過度に性別にとらわれず、多様な進路の在り方を模索することが重要でしょう、と指摘しています。
