母子世帯において就労収入が増加しない要因は
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社は、2025年5月26日、「ひとり親家庭等の家計の収支状況等に関する調査研究~ひとり親(母子)の年間収入階層別の状況~」を公表しました。2021年調査では、わが国の母子世帯の母の平均年間就労収入は236万円(パート・アルバイトでは150万円)にとどまっています。2022年調査では、200万円未満が25.4%、200~300万円未満が25.0%、300~400万円未満が21.6%となっています。なぜ、母子世帯の収入が伸びないのでしょうか。この度の調査は、母子世帯において就労収入が増加しない要因の分析を行いました。調査は、こども家庭庁の助成により実施されました(概要版は≪コチラ≫、全体版は≪コチラ≫です。)。
報告書は、調査の結果を次のようにまとめています。【200万円未満】経済的な困窮に加え、親の心身の健康問題、社会的な孤立、子育ての悩みなど、多様な困難が複合的に発生している。大半は仕事をしている一方で、就業時間が限定されているケースが大部分を占める。就業時間が現状のままでは就労収入を増やす見込みが立たない人が多い。また、零細企業で働く割合も高い。【200~300万円未満】育児の時間等を確保するため、就業時間を増やすことができない人が一定割合いる。(子どもが一定年齢以上になって)育児に時間が取られるわけではないが、子どもと一緒にいる時間等を確保するために、就業時間を増やさないようにしている人が一定割合いる。就業時間が長くても就労収入が低い人達が一定割合いる。学歴が低く、職業スキル・経験も乏しいことが原因であると想定される。【300~400万円未満】勤め先に定着できること(勤続年数が長いこと)が、就労収入の上昇につながっている。家計についての不安は減っても、子どもと過ごす時間が少なく、子育ての悩みや不安は強い。