校則の見直しはどこまで進んでいるか。文科省の調査から
わが国の学校には「ブラック校則」などと呼ばれる理不尽な校則が根深く存在しています。これに対し、文科省は、2022年12月、生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書に当たる「生徒指導提要」を改訂して、校則の検証や見直し、校則制定後から一定期間経過したときの校則の見直し、生徒保護者の意見の反映、ホームページなどでの公開、校則の制定・改訂手続の明確化などを推奨しました。しかし、校則の実態についての調査は行われてきませんでした。文科省は、2025年2月25日~3月28日、無作為抽出した公立中学校400校と公立高等学校400校を対象にして校則の見直し状況などを調査し、2025年7月2日、教育委員会その他の学校関係者宛に、その結果を通知しました。文科省は、引き続き校則の見直しが適切に行われるよう求めています(通知は≪コチラ≫、生徒指導提要は≪コチラ≫です。)。
2019年度以降、約91%の学校が校則の制定・変更を実施しました。さらに、生徒指導提要の改訂後の2023年度及び2024年度の各年度においては、過半数の学校が校則の制定・変更を実施していました。一方で、2019年度以降に一度も校則の制定・変更が実施されていない学校や、変更の予定がない学校もありました。なお、生徒指導提要は、校則を制定してから一定の期間が経過し、学校や地域の状況、社会の変化等を踏まえて、その意義を適切に説明できないような内容の校則は、教育目的に照らし内容は適切か、現状に合う内容に変更する必要はないか、本当に必要か、絶えず見直すことの重要性を説いています。
校則の制定・変更を実施したと回答した学校のうち約85%が生徒保護者から意見を聴取する機会を設けていましたが、約15%は意見を聴取する機会を設けていませんでした。なお、生徒指導提要は、校則の見直しに児童生徒自身が参画することは、校則の意義を理解し、自ら校則を守ろうとする意識の醸成につながること、校則を見直す際に児童生徒が主体的に参加し意見表明することは、学校のルールを無批判に受け入れるのではなく、自身がその根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決するという教育的意義を有するものとなると説いています。
調査対象校のうち約71%は校則の制定・変更に関する手続を定めていましたが、約29%は手続を定めていませんでした。また、約57%が校則を学校のホームページに掲載して生徒保護者に周知していました。通知は、校則を制定・変更する際の手続の定めや周知の実施について、改めて検討するよう求めています。