日本版DBS法(こども性暴力防止法)が成立しました

日本版DBS法が2024年6月19日の通常国会で、全会一致で可決、成立しました。日本版DBS制度とは、子どもと接する仕事に就職する人の性犯罪の前科について、事業者がこども家庭庁を通じて法務省に照会する仕組みです。もしも性犯罪の前科があれば、こども家庭庁から犯罪事実確認書が本人に通知され、2週間以内に本人が採用を辞退すれば事業者には前科の情報は伝えられません。こうすることによって、該当者が子どもと接する仕事に就職することはできなくなります(関連情報があります。≪コチラ≫をクリックしてください。)。法律名は、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止のための措置に関する法律(こども性暴力防止法)です。2026年度中に施行される予定です。

対象となる事業者は、学校、認可保育所、児童養護施設などでは照会・確認が義務づけられます。民間の学習塾やスポーツクラブ、放課後児童クラブ、ダンススクールなどでは、国から認定を受けた事業者に限って照会・確認が義務づけられます。対象となる前科は、性被害に関する法律と条令に違反した前科です。ただし、下着窃盗やストーカーは除外されています。照会の期間は実刑の拘禁刑(今の懲役刑と禁錮刑が一本化されて2025年6月1日から拘禁刑になります。)の場合は刑を終えてから20年間、罰金及び執行猶予の場合は10年間とされました。起訴猶予や民事上の示談、懲戒処分にとどまる場合は対象外です。

子どもに対する性暴力の防止にとって、この法律の制定は一歩前進です。ところで、性犯罪の前科のある人の就職を制限するだけで対策として十分というわけにはいきません。現在のわが国では、商業主義的で醜悪な性情報がインターネットにあふれています。成人であっても子どもであっても誰でも容易に無料で目にできます。これらのサイト情報は、女性や未成年者を金儲けや興味の対象と見て、人格の尊厳や人権を著しくおとしめています。このような情報が性暴力に深くかかわっています。これらが制限されれば良いのですが、今の政治情勢の下では、なぜか制限されることがありません。サイトの規制を求めるとともに、私たち一人ひとりが異性を重んじ(男性と女性は社会を作っている大切なパートナーなのです。)、科学的で人権尊重に根差した考え方を身に着けるようにすることが重要です。そうした社会にむけて、ジェンダー平等、包括的性教育、再犯防止プログラムの充実、性暴力が起きにくい環境づくりなどを進める必要があります。