文科省:2024年度の小中不登校は過去最多の35万人。いじめ、暴力行為も過去最多

文科省は、2025年10月29日、「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」を公表しました。調査は、全国の児童生徒の問題行動や不登校等を調査・分析することによって、教育現場での生徒指導上の取組みを充実させることを目的として、文科省が毎年実施しています。調査項目には、暴力行為、いじめ、出席停止、不登校、中途退学、自殺、教育相談があります。調査の対象は、全国の国公私立の小中高、特別支援学校、都道府県・市町村教育委員会です(概要版は≪コチラ≫、全文は≪コチラ≫、前年の記事は≪コチラ≫です。)。

【いじめ】小中高及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は76万9022件で、4年連続で過去最多を更新しました(前年度73万2568件)。子ども1000人当たりの認知件数は61.3件でした(前年度57.9件)。パソコンや携帯電話で、誹謗・中傷や嫌なことをされた件数は2万7365件で、増加傾向にあります。

【いじめの重大事態】いじめ防止対策推進法28条1項は、子どもの生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがある場合や、相当の期間学校を欠席することを余儀なくされた疑いがある場合を、重大事態と称しています。小中高及び特別支援学校における重大事態の発生件数は1405件で、過去最多となりました(前年度1306件)。このうち490件は、重大事態として把握するまで学校側はいじめとして認知していませんでした。

【暴力行為】暴力行為には、対教師の暴力、生徒間の暴力、それ以外の人に対する暴力、器物損壊が含まれています。小中高における暴力行為の発生件数は12万8859件で、過去最多となりました(前年度10万8987件)。子ども1000人当たりの発生件数は10.4件でした(前年度8.7件)。

【小中の不登校】2024年度に年間30日以上登校せず不登校とされた小中学生は35万3970人で、過去最多となりました(前年度34万6482人)。増加は12年連続でした。内訳は、小学生13万7704人、中学生21万6266人でした。もっとも、増加率は、小学校5.6%(前年度24.0%)、中学校0.1%(前年度11.4%)、小・中の全体では2.2%(前年度15.9%)で、いずれも前年度からは低下しました。また、学年別に見ると、小1、中2における不登校の子どもは前年度から減少しました。

【高校の不登校】不登校の高校生は6万7782人で、前年度から988人減少しました(前年度6万8770人)。

【中途退学】高校生の中途退学者は4万4571人(前年度4万6238人)、中途退学率は1.4%(前年度1.5%)で、いずれも前年度と比べて減少しました。

【自殺】小中高から報告のあった自殺した子どもは413人でした(前年度397人)。子どもが置かれていた状況(複数回答)は、「精神障害(58人)」「家庭不和(46人)」「進路問題(35人)」が多く、「いじめの問題」は8人でした。