文科省:公立小中学校のバリアフリー化を2030年度末までに
学校の建物は、障害のある子どもが日頃から安心して学校生活を送れるためにも、災害時には避難所として障害者、高齢者が利用することからも、施設をバリアフリー化する必要があります。2006年に成立したバリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)と政令が2020年に改正され、公立学校等の建築物はバリアフリー基準(建築物移動等円滑化基準)に適合しなければならないこととなりました。
この法令の改正を受けて、文科省は、2020年12月、学校施設バリアフリー化推進指針を改訂し、2025年度末までの公立小中学校のバリアフリー化に関する整備目標を設定し、財政支援を強化しました。今年度はその整備目標最終年度にあたります。ところが、整備状況の推移については、一定の進捗は認められるものの、整備目標を達成するには至りませんでした。
こうした経緯を経て、文科省は、2025年8月22日、新たな整備計画「公立小中学校等施設のバリアフリー化に関する整備目標 (令和8年度~令和12年度)」を策定しました(新たな整備目標は≪コチラ≫です。)。新たな整備目標では、これまで2025年度末までとしていた整備目標の期限を、2030年度末までに変更したことになります。学校施設のバリアフリー化の整備目標を2030年度末まで後ろ倒しにした、と表現したマスコミもあります。重要な点を抜粋します。
【将来的に目指す姿】公立の小中学校等について、原則全ての学校施設において、車いす使用者用トイレ、スロープ等による段差解消、エレベーターの整備等のバリアフリー化がなされ、障害等の有無にかかわらず、誰もが支障なく学校生活を送ることができる環境が整備されていることを目指す。【バリアフリートイレ】災害時に避難所となる施設において、車いす使用者用トイレは、良好な避難生活を送る上で重要な機能であることから、避難所に指定されている学校における整備率を原則100%とすることを目標とする。【スロープ等による段差解消】スロープ等による段差の解消は、円滑な移動等を行う上で欠かせないものであり、全ての学校において備えるべき基本的な機能と位置付け、全ての学校を対象とし、整備率を原則100%とすることを目標とする。【エレベーター】円滑な移動等に配慮が必要な児童生徒や教職員(要配慮児童生徒等)が在籍している学校においては、人的サポートがなければ、日常的な上下階の移動を円滑に行うことが困難な状況にあり、施設面での対応を急ぐ必要性があると考えられることから、現に要配慮児童生徒等が在籍している学校から、エレベーターを優先的・段階的に整備していくことが必要である。このため、校舎、屋内運動場ともに、要配慮児童生徒等が在籍している学校において、エレベーターを原則100%整備することを目標とする。