文科省調査:92万0415人の全教育職員中、7119人が精神疾患で病気休職に

文科省は、2024年12月20日、「令和5年度 公立学校教職員の人事行政状況調査について」の調査結果を公表しました(概要版は≪コチラ≫です。)。調査は、2023年度を中心に、都道府県・指定都市の67教育委員会を対象に実施されました。文科省は、この調査の趣旨を「教職員の人事管理に資するため」と明示しています。しかし、単に人事に活用するだけではなく、第一線の現場で教育を日々支えている教職員や、なによりそこで学び生活している子どもにウェルビーイングな居場所を提供し子どもの権利を実質的に保障することに生かされるものとならなければなりません。調査項目は、精神疾患による病気休職者数、懲戒処分状況、女性管理職の割合などですが、ここでは精神疾患による病気休職者について触れます。

全国の教育職員は、2023年5月1日現在、92万0415人を数えます。そのうち、うつ病などの精神疾患による病気休職者数は7119人となり、全教育職員数の0.77%に達しました。前年度の6539人からは580人も増加し、過去最多となりました。休職は学校を90日以上休む場合ですから、休職に至らずとも精神を病みながら教育に取り組んでいるケースが相当多数にのぼるのではないかと想定されます。

(出典 文科省「令和5年度 公立学校教職員の人事行政状況調査について(概要)」 2ページ)

病気休職の要因を教育委員会に調査したところ、児童生徒への指導に関する業務が26.5%で最も多く、次いで職場の上司や同僚、部下との対人関係が23.6%、学校での事務的な業務が13.2%と続きました。教職員のメンタルヘルスの悪化は、ダイレクトに子どもに影響を及ぼします。教職員が精神疾患で休職するような場所で子どもたちが安心して学校生活を送ることは困難でしょう。このような状況は早急に改められなければなりません。文科省は、働き方改革の一層の推進、教員のメンタルヘルス対策の充実、過剰な苦情に対応する弁護士による相談体制の整備などを進めるとしています。しかし、この問題のベースはもっと根源的なところにあると考えられ、教育予算の増額や教育職員の増員などが根本的に必要不可欠です。