文科省調査:児童生徒への性暴力で処分を受けた教員のデータベース、私学の75%が活用しておらず
過去に児童生徒への性暴力で処分を受けた教員の情報が登録されたデータベース(DB)は、教員を採用する際に活用が義務づけられていますが、そのDBについて、私立の小中高校や幼稚園を運営する学校法人の75%が活用していなかったことが、文科省の調査で明らかになりました。DBは、2023年4月1日から稼働しており、教員の採用の可否を判断する際に活用することが義務づけられています。活用しなかった理由を学校法人に聞き取ったところ、「活用が義務だと知らなかった」とか、「システム自体を知らなかった」などの回答があったということです。2025年7月8日、阿部文部科学大臣が記者会見で明らかにし、適切なDB活用について周知していきたいと述べました。
【教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律】この法律は、2022年4月1日に施行されました。この法律が作られた趣旨は次のように説明されています。本来であれば児童生徒を守り育てる立場にある教員が児童生徒に性暴力を行うことは言語道断です。しかし、児童生徒に性暴力を行って懲戒免職となる教員は後を絶ちません。なかには、教師の権威と信頼を悪用し、被害児童生徒が被害に気づかずに性暴力に至ったケースがあるなど、人として到底許されない事件も見受けられ事態は極めて深刻です。また、一部の教員の性加害行為によって、大多数の教員の社会的な信頼や尊厳が毀損されることはあってはなりません。そこで、この法律により、教員の児童生徒に対する性暴力を全て法律違反とし、教員による性暴力の防止に関する総合的な規定を整備しました。
【特定免許状失効者管理システム(データベース)の整備】この法律では、過去に児童生徒に性暴力を行った者が再び教壇に立つことを防ぐための仕組みを用意しました。「特定免許状失効者等」(児童生徒に性暴力を行ったことにより教員免許状が失効した者)の情報を国が整備するDBに登録します。教員を雇用する際には、国公私立の別や、常勤・非常勤等の採用形態を問わず、必ずデータベースを活用しなければなりません。もしも採用希望者が「特定免許状執行者等」に当たることが判明したときは、当該希望者が児童生徒に性暴力を再び行わないことの高度な蓋然性があることを採用の要件としました。DBシステムは文科省が構築し、2023年4月1日から稼働しました(文科省のHPは≪コチラ≫です。)。