文科省公表:2023年度の全国の小中学校不登校生は34万6482人、高校などを含めたいじめ認知件数は73万2568件、いずれも過去最多
文科省は、2024年10月31日、「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」を公表しました。この調査は、全国の児童生徒の問題行動や不登校等を調査・分析することによって、教育現場での生徒指導上の取組みを充実させることなどを目的として、文科省が毎年実施しています。調査項目には、暴力行為・いじめ・出席停止措置・長期欠席と不登校・中途退学・自殺・教育相談があります。調査の対象は、全国の国公私立小学校・中学校・高校、特別支援学校、都道府県・市町村教育委員会です(公表文書は≪コチラ≫、概要版は≪コチラ≫、前年に関する記事は≪コチラ≫です。)。
【暴力行為】暴力行為には、教師に対する暴力、生徒間の暴力、それ以外の人に対する暴力、器物損壊が含まれています。小学校・中学校・高校における暴力行為の発生件数は、10万8987件で過去最多となりました(前年度は、9万5426件)。学年別の加害児童生徒数は、全学年で前年度と比べて増加しています。児童生徒1000人あたりの発生件数は8.7件でした(前年度は、7.5件)。
【いじめ】小学校・中学校・高校・特別支援学校におけるいじめの認知件数は、73万2568件で過去最多となりました(前年度は、68万1948件)。学年別のいじめの認知件数は、全学年で前年度と比べて増加しています。児童生徒1000人あたりの認知件数は、57.9件でした(前年度は、53.3件)。パソコンや携帯電話等を使って誹謗・中傷や嫌なことをされた件数は2万4678件で、引き続き増加傾向にあります。
【いじめの重大事態】いじめ防止対策推進法28条1項に該当するいじめの重大事態の発生件数は、1306件で過去最多となりました(前年度は、919件)。「増加の背景として、いじめ防止対策推進法の理解が進んだことによる重大事態の積極的な認定や保護者の意向を尊重した対応がなされるようになった一方、学校としていじめの兆候を見逃してしまうなどの早期発見・早期対応への課題や個々の教員が一人で抱え込んでしまうなどの組織的な対応への課題があったことなどが考えられる。」と分析しています。いじめの重大事態に対処するべく、文科省は「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を2017年につくり、2024年8月に改訂しました(関連記事は≪コチラ≫です。)。
【不登校】小学校・中学校における長期欠席者数は49万3440人でした(前年度は、46万0648人)。そのうち不登校児童生徒数は34万6482人で、過去最多となりました(前年度は、29万9048人)。児童生徒1000人あたりの不登校児童生徒数は37.2人でした(前年度は、31.7人)。高校における長期欠席者数は、10万4814人でした(前年度は、12万2771人)。そのうち不登校生徒数は6万8770人で、過去最多となりました(前年度は、6万0575人)。1000人あたりの不登校生徒数は23.5人でした(前年度は、20.4人)。
【中途退学】高校における中途退学者数は4万6238人であり、2013年度以降減少傾向にありましたが、2022年度を境に増加しています。
【自殺】小学校・中学校・高校から報告のあった自殺した児童生徒数は397人(前年度は、411人)であり、前年度から減少したものの、児童生徒の自殺が後を絶たないことは極めて憂慮すべき状況です。