文科省は、児童生徒の自殺予防の取組の強化を求める通知を自治体・学校関係者に発しました
2025年1月29日に公表された厚労省の自殺統計によると、2024年における全国の小中高生の自殺者数は527人となりました(公表文書は≪コチラ≫、関連記事は≪コチラ≫です。)。これまでは2022年の514人が最多でしたが、これを更新しました。いかなる事情があろうとも、子どもが自ら命を絶つようなことはあってはならないことです。多くの小中高生が自殺に追い込まれる今の事態は極めて深刻です。文科省は「令和6年の児童生徒の自殺者数(暫定値)の公表を踏まえた児童生徒の自殺予防に係る取組の強化について(通知)」を作成し、2025年2月10日、関係自治体や学校関係者に通知し、自殺予防の取組の強化を求めました。(通知文書は≪コチラ≫です。)。通知文書が掲げる事項は3点です。①1人1台端末等を活用した心の健康観察について、②教育相談体制の構築、校内連携型危機対応チーム・ネットワーク型緊急支援チームの設置等について、③相談窓口の周知や自殺予防教育の実施等について、です。
①については、「個別の児童生徒の状況を多面的に把握するICTツールを適切に活用することにより、教職員の児童生徒理解の幅が広がり、悩みや不安を抱えた児童生徒の早期把握や早期支援につながると考えられる。」として「各教育委員会及び学校においては、1人1台端末等の活用による心の健康観察などによるSOSの早期把握に努め、児童生徒の自殺の未然防止に取り組むこと。」等とします。
②については「スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーや関係機関の協力を得ながら、全教職員が自殺予防に組織的に取り組むことが必要」「自殺やその他の重大な危険行為の予兆を捉えた際には、教育相談体制の構成メンバーを基盤に、校長をリーダーとする『校内連携型危機対応チーム』を組織し、危険度に応じた対応を行うこと。また、平常時に、危機対応のための態勢づくりやマニュアルづくりなどを進めておくこと。」等とします。
③については「学級担任や養護教諭等を中心としたきめ細やかな健康観察や教育相談の実施等により、児童生徒の状況を的確に把握し、スクールカウンセラー等による支援を行ったり、スクールソーシャルワーカー等を活用して医療等の関係機関に繋いだりするなど、心の健康問題への対応を徹底すること。加えて、『SOSの出し方に関する教育』を含めた自殺予防教育を実施すること等により、児童生徒自身が心の変化や危機に気付き、身近な信頼出来る大人に相談できる力を培うとともに、児童生徒が安心してSOSを出すことのできる環境の整備に努めること。」等とします。
これらも重要ですが、自殺につながりうる原因を取り除く方策にも対応が必要でしょう。たとえば、全国で年間73万件を超えるいじめ、34万人を超える不登校を生み出している学校の状況(関連記事は≪コチラ≫です。)、全教育職員の0.7%に当たる7119人が精神疾患で3ヶ月以上の病気休職をせざるを得ない状況など(関連記事は≪コチラ≫です。)、学校の在り方についても検討する必要があります。