文科省のWGは、2019年から「教科書代替教材」として使用されてきたデジタル教科書を「正式な教科書」に位置づける中間案を公表しました
小中学校や高校などで使うデジタル教科書について検討している中央教育審議会のWGは、2025年2月14日、デジタル教科書を紙の教科書と同じく「正式な教科書」に位置づけることが適当であるとする中間案を公表しました。WGとは、文科省の中央教育審議会・初等中等教育分科会・デジタル学習基盤特別委員会・デジタル教科書推進ワーキンググループです(概要版は≪コチラ≫、全文は≪コチラ≫です。)。
現行のデジタル教科書は、紙の教科書の内容の全部をそのままデジタル化したものです。2019年から紙の教科書の「教科書代替教材」として使用が認められてきました。教科書ではないので使用義務や検定・採択・無償給与の対象外でした。要するに、デジタル教科書と呼ばれていたものの、「教科書ではありません」でした。
WGは、GIGAスクール構想を背景にして、教育現場でのデジタル教科書の制度的な位置づけやさらなる活用を検討することを目的として議論を重ねてきました。中間案では、学校教育のデジタル化が進み、デジタル教科書の有効性も示されているとして、デジタル教科書を紙と同じ「正式な教科書」に位置づけることが適当としています。そのため、デジタル教科書も、検定・採択・無償給与の対象になります。その上で、「紙だけ」や「デジタルだけ」に加えて「紙とデジタル」を組み合わせた方式も認めるべきとし、各地の教育委員会が使用する教科書を選択するという方向性を示しました。WGは、今年の秋ころを目処に具体的な方針を示し、新学習指導要領が実施される2030年度から新しい教科書の運用を始めたいとしています。
デジタル教科書は、情報を集めやすい・図や写真が見やすい・一度にいろいろな資料を比べやすい・自分の考えを友だちに説明しやすいなどの利点が報告されています。その一方で、簡単に検索できること等により深い思考や記憶の定着には紙の方が優れているという研究も明らかにされています。デジタル先進国のスウェーデンでは最近、紙の教科書や手書きを重視する脱デジタルに転換したそうです。デジタルだけでは子どもの集中力が続かず、考えが深まらないなどの弊害が確認されたとされています。教員によってデジタル活用に差があるため、研修などの仕組作りも欠かせません。WGの議論だけでデジタル教科書の方向性を決めるのではなく、義務教育のあり方はどうあるべきかを含めて国民全体で幅広く議論するべきという声もあがっています。