文科省の有識者会議:外国ルーツの子どもの教育支援の議論を深める
こども家庭庁の隔年調査により、2023年5月1日時点で、日本語指導の必要な小中高在籍中の子どもの総数は6万9123人にのぼることが分かりました(関連記事は≪コチラ≫です。)。子どもの内訳は、日本語指導の必要な日本国籍の子どもが1万1405人、外国籍の子どもが5万7718人でした。総数は10年前の約1.9倍に増加し、教育支援体制の充実が急務となっています。都道府県別にみると、多い順に、愛知県の1万3984人、神奈川県の8589人、東京都の6312人、大阪府の5040人となっています。長野県内には673人がいます。文科省は、2025年8月28日、「外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議」の第6回会議を開催し、外国籍や日本国外にルーツをもつ子どもへの教育支援について議論を深めました(文科省のHPは≪コチラ≫です。)。
会議では、横浜市の取組が報告されました。横浜市では、日本語指導の必要な子どもは年々増加しており、2025年は4605人となっています。外国にルーツをもつ子どもの6割が中国系で、ついでフィリピン、ベトナム、韓国・朝鮮等と続き、外国籍の子どもは113カ国に及びます。外国につながる子どもの現状は、「日本に来たかったわけではない」「すぐに本国に戻るといわれている」「久しぶりの保護者との生活は嬉しい、複雑」「本国では勉強ができたのに、日本(語)での学習は分からない」、その結果、「多くの子どもたちは、日本を受け入れる気持ちが整っていない」「いつも意欲的に学べるわけではない」と整理できるそうです。
同市教育委員会では、日本語指導の必要な子どもが5人以上在籍する小中学校に「国際教室」を設置します。研修を受けた国際教室担当教員1~2人が加配され、日本語指導、教科指導、生活適応指導などを行います。2025年度には市内の278校に設置されました。また、同市の支援拠点「みなみ市民活動・多文化共生ラウンジ」からは、「母語支援ボランティア活用事業」の取組が紹介されました。日本語がほとんど話せず授業中に緊張していたベトナムの子どもが、ベトナム語のボランティアの声かけで安心して笑顔を見せるようになった事例や、中国語の説明で問題を理解しスムーズに回答できるようになった生徒の事例が報告されました。
今後も日本語指導の必要な子どもは徐々に増加していくと見込まれます。各地で教育支援体制の充実が求められています。