文科省による、特定分野に特異な才能のある子どもへの支援の推進

社会には、特定分野に特異な才能をもった子どもがいます。こうした子どもの認知や発達の特性として、強い好奇心・感受性・豊かな想像力・高い身体的活動性・過敏な五感などや、機能間の発達水準に偏りがあることなどが挙げられます。また、これらの特性が過度に表出し、環境になじめないことによる困難を抱えていることがしばしばあるとも指摘されます。

2021年6月に文科省の下に置かれた有識者会議は、2022年4月26日、「審議のまとめ」という報告を出しました。その報告の「はじめに」は次のように述べています。「これまでスポーツや文化などの分野では学校外において特異な才能を伸長するシステムが作られてきているが、特異な才能のある児童生徒に対する教育に関し、我が国の学校において特異な才能をどのように定義し、見いだし、その能力を伸長していくのかという議論はこれまで十分に行われてこなかった。」(報告は≪コチラ≫です。)。株式会社ユーミックスがまとめた後述の2冊の報告書は、「審議のまとめ」が示した基本理念を次の4点に集約します。①誰が「特異な才能のある児童生徒」かを予め特定の基準で一律に定義しない。②個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実の中で、全ての子どもの才能が発揮されるような、指導・支援の在り方を目指す。③才能や障害・困難の特性が原因で「困っている特異な才能のある子ども」の学習上、生活上の困難の解消を図る。④学校内で十分に対応できない場合も含め、学校外の取組と連携した支援の在り方を探る。これらが原則として文科省の基本方向とみられます。

文科省は、「審議のまとめ」を受けて、2023年度から「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業」を始めました。その事業の中に「特異な才能のある児童生徒の特性を把握するツールや特異な才能のある児童生徒の支援に資するプログラム等のデータ収集・整理」があります。全国の大学や国立研究所、民間団体、スポーツ機関、自治体等が管轄するプログラムやイベント、コンテストなどのデータや判定ツールを網羅するのが主な目的です。文科省から事業の委託を受けた株式会社ユーミックスは、該当するプログラムやイベント、コンテストのデータなどを収集・整理して、2024年3月に1冊目の報告書を、2025年3月に2冊目の報告書を公表しました。2冊の報告書は、才能を伸ばすことを目的とした講習であって、特異な才能のある子どもの個性や才能の伸張にもつながり、そうした子どもが週末や休暇中に参加可能で、主催者が大学や民間団体等であるプログラムなどを幅広く紹介しています(1冊目は≪コチラ≫、2冊目は≪コチラ≫です。)。