教員による性暴力の根絶へ。文科省が緊急のオンライン会議

児童生徒への性暴力で教員が逮捕される事件が相次いでいます。先ごろも、名古屋市と横浜市の市立小学校の教員2人が女子児童を盗撮し、その盗撮画像を交流サイト(SNS)のグループチャットで共有したとして、性的姿態撮影処罰法違反(いわゆる撮影罪)の被疑事実により逮捕され起訴されるという前代未聞の事件が発生しました。チャットには、両名を含む小中学校の現役教員とみられる約10人が参加し、盗撮を称賛しあう投稿が寄せられていたといいます。表向きは誠実さを演じながらその裏で児童生徒を盗撮の対象にして好奇の目で物色していた教員の姿や、その盗撮画像を教員だけの秘密のコミュニティーで共有して称賛しあう異様さに言い知れぬ戦慄を覚えます。教員や学校に対する国民の信頼は一瞬にして崩れ、児童生徒や保護者に及ぼす影響は図りしれません。

こうした事態を受けて、文科省は、2025年7月10日、全国の都道府県・政令市の教育長を集めた緊急のオンライン会議を開催し、教員の服務規律の徹底と児童生徒に対する性暴力の根絶を求めました。文科省の担当局長は「耳を疑う大変ゆゆしき事態だ。児童生徒の模範となる教員が性暴力を行うことはあってはならない」と強調しました。具体的な取り組みとして、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」の趣旨や規定の確認、教員への研修実施、被害防止のための日常的な校内点検、児童生徒を撮影したデータの複数人での管理、児童・保護者向け相談窓口の周知の5点を要請しました。

ところで、同種事件の再発を防ぐには、当該教員がなぜこのような言語道断の犯罪に赴いたのか、その事実関係や原因を究明することが必要と考えられます。たとえば、こうした行動は教員になる前からあったのか、教員になった後に芽生えたのか、なぜ盗撮を始めたのか、その原因は何か、特別なきっかけがあったのか、不満でもあったのか、グループチャットを利用した理由は何か、理性によるブレーキは効かなかったのかなどを具体的に深めることが重要です。現在、当該教員は警察の留置施設に収容されていますが、接見禁止が付されている場合を除き、面会を求めて聞き出すことは可能です。手紙をやり取りして回答を求めることも可能です。また、刑事裁判が終了したときは何人も刑事確定記録を閲覧することができますので、その閲覧申請をして事実関係や原因を調査することも可能です。